広島・九里 レジェンド黒田博樹氏の教えを胸に今季初勝利 Gキラー&連敗ストッパーが本領発揮

[ 2022年4月6日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3-1巨人 ( 2022年4月5日    マツダ )

<広・巨>7回1死一塁、岡本を三ゴロ併殺に打ち取り吠える九里(撮影・奥 調)
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 Gキラー&連敗ストッパーの看板はダテじゃない。広島・九里亜蓮投手(30)が5日の巨人戦で7回を6安打1失点の力投。待望の今季初勝利をマークした。6番・左翼で6試合ぶりに先発起用された松山竜平外野手(36)が1―1の6回に中前決勝打。投打がかみ合ったチームは連敗を3で、首位・巨人の連勝は6で、それぞれ止めた。

 5―4―3。ボールの行方を見届けると、マウンド上の九里は右拳を握り締め、雄叫びを上げた。2点を勝ち越した直後の7回1死一、二塁。最大のヤマ場で敵の主砲・岡本和の内懐をシュートで突き、三ゴロ併殺に斬った。会心だった。

 「気持ちだけで抑えられたと思う。四球で一、二塁になり、そこで逃げるんじゃなく、しっかりと勝負する気持ちで投げられた」

 連敗ストップを託されたマウンド。慎重な立ち上がりに胸中が透けて見えた。常日頃から「自分で自分の首を絞める投球だけはしないように」と自戒しながら、気負いからか初回いきなり3四球。2死満塁で、しかし、丸を右飛に仕留めるなど要所で粘ってみせた。

 「いい打線。長打も多く出ているので、低めに丁寧に…という気持ちだったけど、それでも四球が多い。反省しないといけない」

 レジェンドの教えを胸に刻む。完璧な投球を求めるな――。メジャーから古巣へ復帰した黒田博樹氏が15年の初夏、九里に掛けた言葉だ。当時は先発で結果が出ず、中継ぎで暗中模索していた。

 「きっちりし過ぎて四球を連発し、打たれて…の繰り返し。全部を0点に抑えたらすごいことになる。なぜ、そこを求めたのか…」

 失点したくない。その一心だった。失敗を重ねるたびに、偉大な先輩の言葉が胸に染みこむ。凝り固まった思考は次第に柔軟性を増した。昨季の最多勝、要所での粘り腰はその成果だ。向上心旺盛な30歳。この日の反省は次回登板に生きる。

 昨季は巨人戦で4勝を挙げ、4度にわたって連敗を止めた実績を持つ右腕。面目躍如の投球に佐々岡監督は「悪い面が少しのぞいたけど、粘り強く投げてくれた」と称える。7回続投には「タフだし、投手キャプテンとして週初めは長いイニングを求めて…という意味もある」と説明した。

 「勝ちが付いたのは良かった。もっと安心できる、テンポの良い投球ができるように突き詰めていきたい」

 火曜日の男が踏み出した22年の第一歩。晩成型がどう成熟していくのか、楽しみだ。(江尾 卓也)

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