阪神元トレーナーの権田康徳さんが歩む第2の人生 後進の育成へ新たなスタート

[ 2022年4月6日 09:00 ]

昨季まで阪神で15年間トレーナーを務めた権田康徳さん
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 昨季まで阪神で15年間トレーナーを務めた権田康徳さん(50)が“第2の人生”をスタートさせた。4月からヒューマンアカデミー株式会社が運営する全日制専門校の総合学園ヒューマンアカデミースポーツカレッジの「アドバイザー」に就任。4月19日からは教壇に立ち、トレーナーの卵たちに向けて講義を行っていく。

 「自分の経験をもとにトレーナーを目指す子たちには教科書だけでは分からないことも伝えていきたいと思っている」

 スポーツカレッジはアスレティックトレーナーの米国国家資格「NATA―ATC」取得を目指せる専門校。そこで、米国にも留学経験があり、同資格も取得している権田さんはアスレティックトレーナー米国国家資格「NATA―ATC」の習得に向けたサポートをしていくという。海外留学プログラムやカリキュラム、シラバス作成や教科書の選定などにも関わり、今後のトレーナー人材育成に尽力していく。

 阪神のトレーナー時代に経験してきたことも織り交ぜながら講義で伝えていく方針だ。09年9月12日の横浜(現・DeNA)戦でダイビングキャッチを試みて脊髄を損傷した赤星憲広の事象はその一つだ。これまでもダイビングキャッチで何度も負傷したことがあったことから、その場の赤星の状況を見て即座にセオリーではない判断に出たという。「四つん這いになって起き上がろうとする赤星選手を、もう一度あおむけに寝かせて担架に乗せるというのはリスクが高いと思った」とおんぶして退場させる判断に出た。これは「常識的には間違ったやり方」と振り返るが、こうしたイレギュラーなことへの対応なども、惜しみなく学生たちに伝えていく構えだ。

 権田さんの今後の野望は大きい。1つはトレーナーの後進の育成だ。「教育現場でこれまでのトレーナーとしての経験を学生たちに伝えていきたい」とヒューマンアカデミーを通じて教育に力を注いでいく。2つ目はトレーナーとしてアスリートだけではなく、子どもからお年寄りまで、一般の人にもトレーニングやアスレチックリハビリテーション、体作りや健康作りの面でサポートをすることをテーマに掲げている。4月下旬には兵庫県芦屋市で個人ジム「ダブルレインボー」のオープンを目指しているといい、幅広くコンディションニングのサポートを務めていく。

 そして「落ち着いたら研究職もしたい」とさらなる学びにも関心を示している。これからも飽くなき探究心を忘れず、トレーナーとしての意義、存在を見つめながら、前に進んでいく。(記者コラム・長谷川 凡記)

 ◇権田 康徳(ごんだ・やすのり)1971年10月27日生まれの50歳。アラバマ大学アスレチックトレーニング学部を卒業後、NATA公認アスレティックトレーナー資格取得。その後、アリゾナ州立大学大学院修士課程へ進学。修士課程修了後、フィジオセラピーテンピスポーツクリニック就職。07年から21年まで15年に渡り、阪神タイガースのトレーナーを務める。

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2022年4月6日のニュース