鈴木誠也、カブス決定の裏側 超人気球団ならではの事情、スポニチ本紙・奥田秀樹通信員が分析

[ 2022年3月18日 02:30 ]

カブス公式サイトで合意が報じられた鈴木誠也
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 ポスティングシステムを利用してメジャー球団と交渉していた広島の鈴木誠也外野手(27)が、カブスと契約合意したと16日(日本時間17日)、球団公式サイトが報じた。5年総額8500万ドル(約101億1500万円)の大型契約で、日本野手では歴代最高額。広島への譲渡金は約1460万ドル(約17億3740万円)となる。大本命とされたパドレスを逆転しての獲得。その裏側をスポニチ本紙の奥田秀樹通信員(59)が分析した。

 5年101億円超という金額はもちろん、カブスが鈴木誠を獲得したこと自体に驚いた。チームは再建期に突入したばかり。目先の勝利は求めず、大物補強の必要はなかった。

 おそらく大富豪として知られるトーマス・リケッツ・オーナー兼会長はこう考えたのではないか。「スター選手を失ってがっかりしているシカゴのファンを喜ばせる存在が必要」と。交渉も異例の直接出馬した。鈴木誠は27歳。FA市場で年俸2000万ドル(約23億8000万円)台で契約した他の大物よりもリーズナブルな金額で、若いスターという点も良かったのだろう。

 記者はダルビッシュ(現パドレス)が6年契約を結んだ18年からずっとカ軍を取材。バエス、ブライアント、リゾ、シュワバーら才能豊かな選手がいた。ところが20年12月のダルビッシュに始まり、オーナーは約8カ月の間に主力を次々にトレード。チームを解体した。

 16年に世界一。しかし19年の時点で年俸総額が2億2000万ドル(約261億8000万円)を超え、ぜいたく税を払う事態に。コロナ禍の減収もあり、スター選手を維持できないと考えた。ヤンキースに匹敵する超人気球団で熱狂的なファンも多く資金力もある。多少の赤字でも偉大な選手は残してほしかったというのが、ファンの偽らざる気持ちだっただろう。削りに削って、現在の年俸総額は6000万ドル(約71億4000万円)ほどだ。

 そこに鈴木誠が加入する。もちろんファンは喜ぶが心配もある。18年に移籍直後のダルビッシュが、すぐに結果を出せないのを見たヘイワードは記者に「カブスファンは特別。私も大きな契約(球団最高額の8年総額1億8400万ドル=約218億9600万円)で重圧が大きかった」と明かしていた。応援は熱心だが結果が出なければ厳しく批判される。それが超人気球団の看板を背負うということだ。

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2022年3月18日のニュース