花巻東・麟太郎に根づく大谷翔平の長打力 中学時代に指導した大谷父が明かす怪物のルーツ

[ 2022年3月18日 05:30 ]

エールを送る大谷監督(撮影・柳内 遼平)
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 18日、第94回選抜高校野球大会(13日間、甲子園)が開幕する。最大の注目となるのは花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(2年)。16日には育英(兵庫)との練習試合でOBでもあるエンゼルス・大谷翔平投手(27)がマークした高校通算56本塁打に並んだ。中学時代にプレーしたのは大谷の父・徹さん(59)が監督を務める金ケ崎リトルシニア。甲子園デビューを迎える怪物のルーツを恩師が語った。

 エンゼルス・大谷の背中を追い掛ける佐々木麟。同じ花巻東のユニホームを着ることになった2人には、深い縁があった。佐々木麟を中学時代に指導した徹さんは「子供は親を見て育つというけれど、人間性が素晴らしかった。主将を務めた時は“監督がいらないんじゃないか”と思うほどでした」と振り返る。

 佐々木麟との出会いは偶然ではなかった。徹さんは世界に羽ばたいた息子・翔平を育てた花巻東に、そして麟太郎の父である佐々木洋監督に感謝の気持ちを抱いていた。佐々木麟が中学に進学する際には「ぜひ、麟太郎をウチで預からせてください」と佐々木監督に直談判。実は、小学生時のプレーを一度も見たことはなかった。勝つための戦力として誘ったわけではない。「翔平を見てもらいましたし、育ててもらいました。僕が恩返しできることはそれくらいしかなかった」と感謝を形にするためだった。

 甲子園で花巻東の指揮を執る父の背中を見て育った佐々木麟。金ケ崎リトルシニアでは常に周囲を鼓舞し、自発的に選手ミーティングを開くなどリーダーシップを発揮した。「歴代の中で一番、能力がある主将でした」と徹さんは語った。

 入学時から圧倒的なパワーを誇った佐々木麟。徹さんは息子を育てた時と同じく「ボールの内側を叩いて逆方向に長打を打て」と打撃指導した。大谷がメジャーの舞台で体現する広角に長打を放つ技術。指導を吸収した佐々木麟は、確実性も備える打者へ進化。両者の中学時代を知る徹さんは「打撃に関しては全然、麟太郎の方が上。あれだけパワーがある子はいないです。社会人クラスです」と評した。

 「高校で必要な体力や人間性を身に付けてほしい」と願い14年に徹さんが創立した金ケ崎リトルシニア。チームのOBで花巻東に進学した田代旭主将(3年)、宮沢圭汰(3年)、熊谷陸(2年)、そして佐々木麟が今センバツでメンバー入りした。東北勢初の日本一の期待を背負う教え子たちには「全てに於(お)いて日本一」とエールを送った。プレー以外の部分でも日本一を目指してほしい。晴れ舞台での躍動を心待ちにしている。(柳内 遼平)

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