ノースアジア大明桜　4日がかり初戦突破　風間球打 自己評価「60点」も10K完投

第103回全国高校野球選手権　1回戦   ノースアジア大明桜4－2帯広農 （ 2021年8月15日    甲子園 ）

＜ノースアジア大明桜・帯広農＞力投するノースアジア大明桜先発の風間（撮影・河野　光希）
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　3日連続で雨天順延となった大会が4日ぶりに開催され、1回戦4試合が行われた。第1試合はノースアジア大明桜（秋田）が帯広農（北北海道）を4―2で下し、31年ぶりの甲子園勝利。最速157キロでプロ注目の風間球打（きゅうた）投手（3年）は7安打2失点、10奪三振で完投した。55球を投じながら降雨ノーゲームの12日に続き、この日も雨で開始が約3時間も遅れる中で140球の熱投。頂点を目指して好スタートを切った。

　風間のバロメーターは帽子。ベストピッチ時は必ず帽子が舞う。この日は初回と3回の2度。9回2死で最後の打者も帽子は飛ばなかったが、146キロ直球で一飛に斬った。本調子ではなくても最後まで投げ切る。絶対的なエースの条件だ。

　「勝つことができてうれしい。仲間が打ってくれたので、みんなを助けようという思いで投げました」

　試合時間は1時間53分だが難しい調整を強いられた4日間だった。12日は4回までに55球で無安打の快投を続け、5―0と優位に試合を進めながら4回終了後に降雨ノーゲーム。13、14日は雨天順延となった。この日も約3時間遅れの10時59分に試合開始。そんな状況でも動じなかった。

　世代最速の157キロ右腕は3回にセンバツを含めた今年の甲子園最速となる150キロを記録。1―1の4回は直球を狙われ、さらに2暴投も絡んで勝ち越しを許したが、打線が5回に3得点で逆転してくれた。これで「気合が入った」とスイッチオン。6回以降は意図的に力を抜いた130キロ台の直球も織り交ぜて幻惑した。終盤は「変化球の中で一番良かった」というフォークも多投し、7安打を許しながら140球の熱投で10奪三振。引き出しの多さがもたらした2失点完投だった。

　名前に「球」の字が入る4兄弟の三男。一塁側内野席では3歳上の次男・球星（きゅうせい）さん（20）が家族らと見守った。甲府工を卒業して現在は駿河台大で捕手としてプレー。大学のある埼玉から駆け付けた。山梨県甲州市の実家にあるマウンド付きのブルペン。今年の正月に帰省した風間と数年ぶりに「ブルペン入り」した。成長した弟の剛球を受けて「最後の夏に甲子園に行ってくれる」と確信。予想は的中した。4兄弟で初めて甲子園に立った三男のプレーを目に焼き付け「自分も目指した舞台。弟がプレーできてうれしい」と喜んだ。

　チームを90年以来31年ぶりの甲子園勝利に導いた風間。自己評価は「60点」と厳しかったが「兄貴たちと一緒に野球をやってきた。こういう舞台で1勝を届けることができて良かった」と胸を張った。雨上がりの聖地で演じた力投。球打の夏が始まった。（柳内　遼平）

　◇風間　球打（かざま・きゅうた）2003年（平15）10月11日生まれ、山梨県甲州市出身の17歳。小1から野球を始め、塩山中では笛吹ボーイズでプレー。ノースアジア大明桜で1年春からベンチ入り。遠投100メートル。50メートル走6秒7。憧れはエンゼルス・大谷。1メートル83、81キロ。右投げ左打ち。

　《31年ぶり勝利　90年当時は秋田経法大付》前回の甲子園勝利は校名変更前の秋田経法大付時代で、2年連続出場となった90年の第72回大会の初戦の育英との2回戦。前年夏に1年生エースで4強入りに導いた中川申也が先発して延長13回、147球を投げ抜き、チームは3―2でサヨナラ勝ち。3回戦は横浜商（神奈川）と延長12回の激闘を演じるも2―3で敗れた。