「一緒に甲子園に行くんじゃけえ」脳出血で闘病中の仲間のために神戸国際大付が白星届ける

[ 2021年8月16日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 1回戦   神戸国際大付2-1北海 ( 2021年8月15日    甲子園 )

<北海・神戸国際大付>6回から力投した神戸国際大付2番手・楠本(撮影・平嶋 理子)
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 神戸国際大付が、一丸で息詰まる接戦を勝ち切った。史上3度目となる春夏連続同一カード初戦となった北海戦。今秋ドラフト候補の最速150キロ左腕・木村大成を攻略し、またも1点を上回った。2投手を好リードし、相手を1得点に封じた主将の西川侑志捕手は「打順や打者の特徴は頭に入っていた。しっかり準備できた」と胸を張った。

 好投手の序盤を捉えた。2回1死一、三塁から9番・川西琉成のスクイズで先制。なおも2死二塁から2年生の山里宝が左越え二塁打で2点目をたたき出した。春の北海戦は右肘痛の影響で2回途中降板した先発・阪上翔也が自己最速148キロを計測するなど直球を軸に5回5安打1失点。6回以降は今大会から背番号1の最速145キロの2年生左腕・楠本晴紀が4回零封した。大会タイ記録の1試合3二塁打を放った山里は「楠本に投げてもらって、打っていた。楠本の方が自分の中では(北海・木村より)いい投手だと思うし、楠本のお陰」と“対策”の効果を口にした。

 勝利を届けたい仲間がいる。山里、楠本らと同じ2年生の岡木優之介が6月下旬、脳出血で緊急入院。現在も闘病を続けている。兵庫大会ではベンチ内に「岡木負けるな。一緒に甲子園に行くんじゃけえ」と出身の広島弁を書き込んだ練習用の帽子を掲げて戦った。この日朝、岡木の父親から激励メールを受けた青木尚龍監督は「彼からは“みんな、やらなければいけない、へこたれてはいけない”と教えられてばかり」とかみしめた。

 打撃力が持ち味のチームだが、この日は高校通算で計71本塁打の中軸に安打はなし。それでも堅固な守備と投手力で競り勝った。夏最高成績は17年の3回戦。ベンチ内外が一丸となって、母校の歴史を塗り替える。(桜井 克也)

 ▽21年選抜の神戸国際大付―北海 北海が2、5回に各1点を挙げ、中盤まで試合を優位に進めた。追う神戸国際大付は先発・阪上が2回途中降板も、2番手・楠本が7回1失点と粘投し試合の流れをたぐり寄せた。応えたい打線は6回に1点を奪い反撃開始。1―2の9回に坂本の本盗で同点に追いつくと、延長10回1死満塁、関のサヨナラ打で接戦に終止符を打った。

 《春夏同カードは40度目》北海―神戸国際大付は今春選抜1回戦に続いて初戦で激突。同一年度の春夏同一カード対戦は19年の履正社―星稜以来40度目で内訳は連勝26度、リベンジ14度となった。

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