北海、4元号勝利お預けも…152球完投の木村「上でやっていく自信に」プロの世界で悔しさ晴らす

[ 2021年8月16日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 1回戦   北海1ー2神戸国際大付 ( 2021年8月15日    甲子園 )

<北海・神戸国際大付>3回1死、神戸国際大付・武本から三振を奪う北海先発の木村(撮影・平嶋 理子) 
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 三度目の正直ならず――。全国最多39度目出場の北海(南北海道)は、神戸国際大付(兵庫)に1―2で敗れた。17年夏、今春と2大会連続敗れた同じ相手にまたも1点差負け。最速150キロ左腕・木村大成(3年)の6安打2失点152球完投は報われず、創部120周年の節目の年に目指した4元号勝利もかなわなかった。

 試合終了の瞬間に木村が見せたのは、涙ではなく、笑顔だった。「同じ相手に甲子園で2度負けて本当に悔しいけど、最後に自分の力を出し切れて、悔いはない」。ベンチ前で整列した時に泣きじゃくる仲間を見て、思わずもらい泣きしたが、心の中は充実感でいっぱいだった。

 持てる力は全て出し切った。「球種を張られた」と序盤は得点圏に走者を背負う苦しい立ち上がり。2回に2本の二塁打とスクイズで2点を失った後、3回以降は配球を変えた。最速146キロ止まりの直球からスライダー主体にし、ピンチをしのいでいった。

 今春の全道大会まで道内公式戦57回1/3連続無失点を誇った左腕は今夏、防御率3・08と調子を落とした。スライダーの腕の振りが鈍っていた点を修正し、テークバックもコンパクトにした。3日連続順延の期間も甲子園の室内練習場で投げ、ベストコンディションで臨んだ。平川敦監督(50)は「コロナの影響もあった中で、大会で鍛えてここまできた。甲子園で素晴らしい投球をしてくれた」と集大成の投球を称えた。

 延長10回2―3でサヨナラ負けした今春のセンバツに続く、1点差負けになった。「春は悔しい甲子園だったが、今回は負けたけど、自分たちの力を100%出せた」と笑った木村。同じ惜敗でも胸中は全く違った。

 打線の援護は1点だけでも、甲子園に連れてきてくれた仲間には感謝しかない。

 「全道大会から周りに支えられてこの舞台に立てた。ここでいい投球ができたことは、これから先、上でやっていく上で自信になる」

 木村が口にする“上”とは、プロの世界だ。今春のリベンジはかなわず、創部120周年の節目の年に、大正、昭和、平成、令和と4元号勝利には届かなかった。それでも木村は前を向く。卒業後の進路について「3年間プロを目標にやってきた思いは変わらない」とプロ志望届を出す意向を改めて明言した。次のステージで“北海”の名をとどろかせる。(石川 加奈子)

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