【市川いずみの届け夏エール】どん底からはい上がった明桜・中井主将の“忙しい夏”

第103回全国高校野球選手権　1回戦   ノースアジア大明桜4－2帯広農 （ 2021年8月15日    甲子園 ）

＜ノースアジア大明桜・帯広農＞ノースアジア大明桜・中井（撮影・亀井　直樹）
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　ノースアジア大明桜の中井稜貴主将はいつも大忙しです。最速157キロ右腕・風間球打投手をリードする扇の要でありながら、リードオフマンでもあります。「守備でも打撃でもチームを引っ張っていく存在。勢いづけるプレーをしたい」との言葉通り、帯広農戦では1番・捕手の役割を果たしました。

　10時59分の試合開始から5分で2三振をリードすると、真っ先にベンチへ帰り打撃防具を装着。同7分には打席に立ち、凡退後は再び捕手防具を身に着けるという多忙ぶりです。実は捕手を任されたのは昨秋の新チームから。速球だけでなく多彩な変化球も持つ風間君をリードするため、ワンバウンドを止める練習に励んできた中井君。雨上がりのこの日も「変化球があまり良くなかった」という風間君の球を、顔を泥だらけにしながら必死に止めました。打っても2安打。5回2死からは冷静に四球を選び、逆転劇を呼び込みました。

　昨秋の秋田大会は初戦敗退。「原動力になれば」と室内練習場の入り口に、その試合のスコアをしたためました。どん底からはい上がってきたチームのリーダー。「“一戦決勝”で次も勝ちたいです」。中井君の忙しい夏はまだまだ続きます。

　◇市川　いずみ　京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。