福島敦彦氏　明徳義塾の最大の勝因は2番手・吉村の好救援　選手の状態を熟知する馬淵監督ならでは

第103回全国高校野球選手権　1回戦   明徳義塾3－2県岐阜商 （ 2021年8月15日    甲子園 ）

＜明徳義塾・県岐阜商＞一度センター方向を向いて投げ込む明徳義塾・吉村（左）（撮影・成瀬　徹）
Photo By スポニチ

　【福島敦彦の迫球甲子園】明徳義塾の最大の勝因は、2番手・吉村君の好救援だろう。6回途中から4回を投げ、1失点。12アウト中、犠打と併殺打を含みゴロアウトが10個あるように、見慣れない左の変則横手投げで、両サイドへ徹底して低めにボールを集めた投球が光った。

　6回、1点を先制され、なおも無死三塁で馬淵監督が左腕エース代木君からの継投を決断した。あの場面は外野フライ（犠飛）も許されない状況で、三振か内野ゴロが欲しい場面。打者は今大会屈指の強打者の4番高木君で、もちろん、チームとして徹底的に研究してきたはず。両左腕を比較して、より高い確率で望むアウトを取れる選択をしたわけで、選手の状態を熟知する指揮官だからこそ、できた「芸当」だった。

　3日連続の順延で選手の心身における調整も難しかったはずだが、両軍ともに初回から無駄のない動きを見せていた。これも実績ある両監督だからこそ。期待通りの好ゲームだった。　（報徳学園、慶大、中山製鋼元監督）