中畑清氏 今年は雰囲気が違うセ・リーグ 交流戦勝ち越しを期待

[ 2021年6月1日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】巨人がようやくソフトバンクに勝った。先発の戸郷から7投手をつないで4―3でもぎ取った30日の勝利。ただの1勝じゃない。オープン戦を含めて14連敗していた天敵に勝ったんだからね。

 日本シリーズは2年連続で4連敗。「ソフトバンクに追いつけ、追い越せ」でチームを強化してきた。交流戦2カード目で巡ってきた対戦。試金石として楽しみにしていたら、いきなり3―9、3―8の連敗だ。

 思い出したよ。DeNAの監督だった2015年。貯金10の首位で突入した交流戦、3勝4敗で迎えた6月3日のソフトバンク戦(横浜)だ。柳田に特大の一発でセンターの大型ビジョンを破壊されてさ。ショックが尾を引き、ここから1分けを挟む10連敗。レギュラーシーズンに戻り、連敗は12まで伸びたんだ。

 でも当時のDeNAと一緒にしちゃ失礼だよね。負けて15連敗になっていたら秋まで大きなダメージを引きずることになったはずの最終戦。巨人は呪縛を解いた。ポイントはホームランを一本も打たれなかった配球だ。

 この2年の日本シリーズでは8試合全試合で手痛い一発を浴び、今年の交流戦も最初の2試合で9発を食らったけど、この試合は違った。外角にボールを集め、落ちる球を効果的に使ってホームランを防いだ。

 いかに強力なソフトバンク打線とはいえ、ホームランさえ打たれなければ試合がつくれる。これが分かったのは大きな収穫。今季はセ・リーグ内に阪神という強敵がいるけど、秋の打倒ソフトバンクに向けて再スタートの形がつくれたと思う。

 2年ぶりの交流戦。天敵に勝った巨人だけじゃなく、今年は違った雰囲気があるね。「パ高セ低」と言われる中、ほぼ3分の1を消化してセ17勝パ14勝3分け。本塁打も44本のセが35本のパを上回っているんだ。DH制のあるなしにかかわらず、個々にレベルアップすれば、こんな戦いができるんだよね。

 過去15回の交流戦で09年(セ70勝パ67勝7分け)の一度しか勝ち越していないセ。2度目の勝ち越しなるか。残り3分の2。制度を言い訳にしないでいい結果を期待したいね。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2021年6月1日のニュース