【新井さんが行く!】佐々木朗、奥川、西純、佐藤輝、栗林ら 次々活躍する逸材たち…野球界の未来は明るい

[ 2021年6月1日 05:30 ]

新井貴浩氏
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 交流戦突入と前後し、若い選手の奮闘が、ますます増えたように思う。見ていてワクワクするし、球界も活性化する。

 ロッテ・佐々木朗は甲子園球場でプロ初勝利。まだまだ未完成だし、段階を踏みながら一歩ずつ前へ進んでいるところ。いま時点でも、あれだけの魅力があるのだから、この先どこまで進化していくのか。本当に夢しかない、ロマンしかない。

 同じ高卒2年目のヤクルト・奥川も佐々木朗と同日登板で勝ち、阪神でも西純と及川の初勝利が続いた。メットライフドームで見た及川は指にかかった直球には見るものがあり、成長が楽しみな選手の1人だ。昨季のうちに初勝利を挙げていたオリックス・宮城は開幕から先発陣に定着し、堂々の成績。みんな、高卒2年目から1軍の舞台に立っていること自体がスゴい。ゆくゆくは彼らがプロ野球界の中心になり、世界と戦う次世代の日本代表を担っていく。楽しみでならない。

 新人も例年以上に力のある選手が多い。阪神・佐藤輝は他球団から厳しくマークされ、もう1年目の打者の扱いではない。広島・栗林やDeNA・牧らも開幕から安定してチームに貢献しているし、最近では日本ハム・五十幡の俊足と守備範囲の広さも印象に残る。

 プロ野球の世界に入ったのは23年前。当時は「高卒5年」「大卒3年」で一人前になれば十分と言われたものだ。それが、いまは早くから活躍。改めてアマチュア野球のレベルが上がったなあ…と実感させられる。

 トレーニングが多様化し、何のためにやるのかという目的も明確になった。「とにかく走っておけばいい」とだけ言われた昔とは違う…。食事のとり方も科学的な根拠に基づき、高卒新人でも体つきが見劣りしなくなった。情報量も増えた。トップ選手がトレーニング方法や変化球の投げ方などを動画で公開。一流の取り組みに身近に接する機会にも恵まれている。

 野球人口の減少を危ぶむ声をよく聞く。もちろん、多い方がいいし、普及の取り組みは必要だと思う。ただ、子ども全体の数が減り、選ぶスポーツも多様化。絶対数が減る中、これだけの逸材が出現している。未来を悲観してはいない。(スポニチ本紙評論家)

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2021年6月1日のニュース