広島ドラ3・大道に異例の経歴 シンガポールで野球始める スライダーは“マーライオン級”の落差

[ 2020年11月13日 05:30 ]

カープ帽をかぶって担当の近藤スカウト(左)と記念撮影する大道(撮影・河合 洋介)
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 広島からドラフト3位指名された八戸学院大・大道温貴投手(21)は12日、青森県八戸市内のホテルで入団交渉し、契約金5000万円、年俸1000万円(金額はいずれも推定)で仮契約した。小学2年を前に移住したシンガポールで野球を始めたという異例の経歴の持ち主。当地の象徴的存在である「マーライオン」の口から放出される水のように鋭く落下するスライダーで、プロでも「ドクターK」を目指す。

 大道の原点は、シンガポールにあった。生まれは埼玉だが、小学2年になる前に電子メーカーに勤める父・貴志さんの海外赴任が決まり家族で移住。現地には、子どもたちが集まるソフトボールチームがあった。「そこの中心の人たちが野球もやっていた。初心者だったけど、野球チームに入りました」。ベースボール後進の地、東南アジアで野球を始めたプロ野球選手は、そうはいないはず。6年時に帰国すると、地元の埼玉で、さらに野球にのめり込んだ。

 熱帯のシンガポールとは対照的な寒さが厳しい青森にある八戸学院大に進学すると非凡な才能が開花した。最速は150キロに到達し、4年秋のリーグ戦ではリーグトップの防御率0・25。富士大戦では富士大・多和田真三郎(現西武)のリーグ記録に並ぶ18奪三振をマークするなど、奪三振率は驚異の15・00(36イニングで60奪三振)を誇り“みちのくのドクターK”と化した。

 「4年では“スライダーを投げたら打たれないだろう”という感覚で投げていた。スライダーが一番打たれる確率が低いかなと思います。スライダーを磨いて空振りを取れるようになったのが奪三振率につながりました」

 勝負球のスライダーは、ブレーキを利かせながら縦に鋭く曲がる。まるでシンガポールのシンボル「マーライオン」の噴水を思わせる落差だ。複数あるマーライオンのうち、最大のものは高さ37メートル。「マーライオンの大きさは、実際に見て感じた方がいいと思います。写真だと小さく見えると思うんですけど、めっちゃでかいです」。大道は身長1メートル78からオーバーハンドで投げ下ろす。スライダーは実際に目にした者に強烈な印象を残すことになるだろう。

 「ここからがスタート。開幕1軍を目指したいです。まずは、自分の今のスタイルのままチャレンジしていきたいと思います」

 先発、救援の両面で期待される即戦力右腕。「マーライオン・スライダー」は、1年目から話題の「名所」となるかもしれない。 (河合 洋介)

 【大道はこんな選手】
 ★生まれ 1999年(平11)1月20日生まれ、埼玉県出身の21歳。
 ★サイズと投打 1メートル78、83キロ。右投げ右打ち。
 ★球歴 小学2年からシンガポールで野球を始める。八幡木中では軟式野球部に所属し捕手から投手に転向。春日部共栄では2年春からベンチ入りも甲子園出場なし。八戸学院大では1年春からベンチ入りし北東北大学リーグ通算22勝。
 ★先輩 巨人・高橋は大学の2学年先輩。「一番投げ合ってみたい相手」。ドラフト当日には“良かったね”と電話が入った。
 ★高い適応能力 4年間の海外生活で環境に適応する能力が身についた。「食事とかに文句を言うことはないです」。
 ★スポーツ万能 小学生の頃はテニス、水泳にも挑戦。本人いわく、水泳はかなりの腕前。

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