野球の普及・振興へ まず裾野の指導者意識改革から BFJ第1歩

[ 2020年11月13日 11:00 ]

U12世代の指導者資格導入について説明したBFJ・山中正竹会長
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 【伊藤幸男の一期一会】アマ野球の代表団体、全日本野球協会(BFJ)は12歳以下の指導者を対象に、公認資格を導入すると発表した。「公認野球指導者 基礎1 U―12」と命名。硬式・軟式の区別なく、特定団体の所属を条件としない、野球界初の共通資格となる。

 幼少時の野球離れを食い止めるには、まず現場の意識改革に取り組むべき、との考えが根底にあった。根性と勝利至上主義を押しつける「昭和式」では、野球を選択する児童が確実に減っていくことは自明の理だ。

 「公認…基礎1」では(1)スポーツを通じて身につけるべき心構え=スポーツマンシップの重要性を学ぶ(2)高度な技術より、基本を元に自ら考え、工夫し、挑戦し成長できる選手を育成する―コーチングスキルの基礎を学ぶ項目もある。

 ちなみに12歳以下に該当する全日本軟式野球連盟傘下の学童は約20万人、一部該当するボーイズなど硬式野球団体は約1万人が在籍しているという。もちろん10年前と比較し、同世代の野球人口は減少しているのは否めない。

 山中正竹会長は「まず普及に最も大事なU―12世代から取り組みます」と説明。自身も一時は旧態依然の教育に傾きかけたことを認めた上で「私たちと一緒に“変わりましょう”“変えましょう”」と訴えた。来年3月にはU15を対象とした資格制度の設置を目指している。

 「公認…基礎1」取得にはBFJなどが主催する講習を受ける必要がある。講習内容は投球、捕球、打撃の実技指導にとどまらず、スポーツマンシップ、体罰・暴力・ハラスメントの根絶、リスクマネジメント、指導者に必要な医学的知識も含まれている。登録料は4年間で1万円。資格取得は任意だが、将来的には1チーム1人は取得を義務づけるなど制度化も検討する。

 山中会長は「今の時代に即した指導のスタンダードを示したい。指導者や所属団体が変わっても、長期的な一貫した指導方針、カリキュラムを示している」と同制度の意味を説明した。

 来年1月末には、BFJ主催による「野球指導者講習会(BCC)」を開催。毎年実施してきたが、今回は「公認…基礎1」の資格付与へ初めて対応することになった。なお新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今回はライブ配信、オンデマンド配信で実施される。申し込みはBFJのHP(www.baseballjapan.org/jpn/)から。

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