楽天 異例の「全権監督」が誕生した背景に特殊な球団事情

[ 2020年11月13日 05:30 ]

楽天の歴代監督
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 【記者の目】4位という最終順位はもちろん、2年連続の監督交代にファンは複雑な思いを募らせているはずだ。補強に間違いはなかった。しかし、三木監督は戦力を生かし切れず、わずか1年で2軍監督に配置転換となった。

 ある球団関係者は「シーズン前半は間違いなく良い野球ができていた。ただ、後半戦は首脳陣が消極的になり、最後は目指す野球を完全に見失っていた」と指摘する。新たな監督を据えるにも、外部招へいではチームの方向性に再びブレが生じる。過去2年間の土台と方向性を崩さずに任せられる人物は、石井GMしかいなかった。

 異例の「全権監督」が誕生した背景には、楽天の特殊な球団事情も見え隠れする。大久保監督時代の15年には三木谷浩史オーナーの現場介入問題が表面化したこともあった。球団関係者は「石井GMの就任後は、オーナーが強引に現場に意見を下ろすということは聞かなくなった」と明かす。オーナーにも現場にも現状や今後について丁寧に説明しながら、球団と現場とのバランスを取るフィルター役。石井GMは、球団内でそれができる唯一の存在でもあった。

 球場では気さくに選手に話しかけるなど、コミュニケーションを何よりも重視してきた。就任会見で立花陽三球団社長はこう言った。「選手のことをよく知っている。歴史が深い球団ではない。新しいスタイルにもチャレンジしていく」。指導者としての力量は未知数だが、常識にとらわれない発想と行動力は大きな魅力。その手腕に注目したい。 (楽天担当・重光 晋太郎)

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