西武・松坂“新スプリットチェンジ”駆使し3回零封 ローテ当確好投も無観客「声援受けて投げたい」

[ 2020年3月16日 05:30 ]

オープン戦   西武3―1ヤクルト ( 2020年3月15日    メットライフD )

6回から3番手で登板し無失点に抑えた松坂(撮影・沢田 明徳)
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 西武の松坂大輔投手(39)が15日、ヤクルト戦に3番手で登板し、3回を1安打無失点と好投した。西武の一員として4908日ぶりに上がったメットライフドームのマウンドで、山田哲人内野手(27)、村上宗隆内野手(20)から三振を奪い、開幕ローテーション入りを確実にした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、無観客オープン戦での凱旋。早期開幕とともに、大観衆の前での「凱旋投球」を熱望した。

 拍手、歓声のない静寂のメットライフドームを、「平成の怪物」松坂が支配した。

 「イメージした通りの内野ゴロだったり、空振りだった。(仕上がりは)少しずつ前進しているんじゃないかと思います」

 3―1の6回にマウンドへ。この球場で投げるのはソフトバンク時代の17年3月18日のオープン戦以来だが、西武の一員としての登板は4908日ぶりだ。気温約8度の寒さ。「そーっと入りました」と振り返ったが、先頭の山田哲をいきなり132キロのカットボールで空振り三振。7、8回は先頭打者に四球を許したが、3回1安打無失点に封じた。

 久々となった古巣のマウンドには「特にないです」と事もなげに話した。ただ、横浜高時代から甲子園、大リーグも含め20年以上、大観衆の中で投げ続けてきた39歳が寂しがったのは「コロナ禍」でファンが不在の現状。「今は画面を通してしかプレーを見せられない」と語り、続けた。

 「早く実際に球場で多くの声援を受けて投げたいと思いました」

 前回在籍時、西武ベンチは一塁側だったが、現在は三塁側と球場も様変わり。本人の顎ひげには白いものが交じり、150キロを超える剛球も影を潜めたが、向上心は変わらない。レッドソックス時代にも投げていたチェンジアップより球速が速く、鋭く落ちる「スプリットチェンジ」の改良版を数球投げた。ロッカールームで隣のニールに「先週、握りと投げ方を教わった」。

 8回2死一塁では村上にフルカウントから投じ、バットは中途半端に空を切った。「最後はタイミングだけ外せばと思った」と、してやったりの松坂は「変化を小さくすれば内野ゴロも打たせられる」とうなずいた。

 チームは快勝。西武はオープン戦を08年以来の勝率1位で終え、辻監督も「今の力で勝つために緩急で打ちとることができている。上出来」と右腕を称えた。次回は22日、日本ハムとの練習試合で、この球場での先発が濃厚だ。「本来はなかったはずの時間。プラスに捉えて、少しでもいい状態で(シーズンに)入れるような力の使い方をしたい」。大歓声を浴びる日を待ちわび、松坂は腕を振る。 (花里 雄太)

 ▼ヤクルト山田哲 変化球しかこなかったけど、手元で曲がるので“仕留めた”と思ってもファウルになった。簡単には打たせてくれないという感じだった。
 ▼ヤクルト村上 小さい頃から見ている選手の一人。対戦できて光栄です。次の対戦があれば打ちたい。

 ▽松坂の西武時代の前回本拠地登板 06年10月7日のプレーオフ第1ステージ第1戦、ソフトバンク戦(インボイス西武)に先発し、9回6安打、13奪三振で1―0の完封勝利。8回4安打1失点の斉藤和巳との球史に残る投手戦を制し「自分が失点することはあっても、向こうは失点しないと思った。だから、とにかく粘りました」と話した。しかし、西武は第2、3戦を落とし敗退。松坂はオフにポスティングシステムを利用してレッドソックスに移籍した。

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