【スポニチ潜入(5)】智弁和歌山・小林樹 制球力向上で奥川の背中追う 紀州が生んだ148キロ右腕

[ 2020年3月16日 10:00 ]

智弁和歌山の小林樹斗投手
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 スポーツニッポン新聞社がお送りする記事と動画を連動する新企画「スポニチ潜入」。主に関西圏のアマチュア野球選手を紹介する本日公開の第5回は、最速148キロを誇る本格派右腕、智弁和歌山(和歌山)・小林樹斗投手です。

 1メートル82、86キロ。グラウンド内でチームメートにまじっていても、どこにいるかが、すぐに分かる。ひときわ、目を引く存在。均整の取れた体格は、今すぐプロの選手たちの中に入っても引けを取ることはないだろう。智弁和歌山・小林樹は投げるボールだけでなく、体格面にも「本格派」の雰囲気を漂わせる。
 松洋中(和歌山)軟式野球部ではエースとして近畿大会に出場。当時から最速135キロを誇り、智弁和歌山でも入学直後の1年春からベンチ入りを果たした。同夏はベンチ入りメンバーから外れたものの、昨年は春夏の甲子園大会でベンチ入りし、ともにマウンドを経験。選抜の準々決勝・明石商戦では救援登板で6回1失点と好投し、夏の大会の準々決勝・星稜戦では先発に抜てきされた。昨秋の新チームからエースとなり、近畿大会8強入りの原動力となった。
 恵まれた体格から投じる直球は、最速148キロをマークする。変化球も2種類のスライダー、スプリット、カーブ、チェンジアップと多彩だ。投球の原動力となる背筋力は200キロを計測し、スクワットで170キロを持ち上げる下半身の強さも持ち合わせている。とはいえ課題もある。オフ期間は、その克服に取り組んできた。
 「この冬は制球力という部分を課題に置いて練習してきました。やっぱり、トレーニングの量であったり、基本的なキャッチボールの部分であったりを、もう一度、見つめ直して。制球力というのを第一に置いてやってきています」
 すでに昨秋の時点から課題克服に着手していた。その一手としてフォームを変更。県大会決勝・和歌山南陵戦まではワインドアップだったが、近畿大会からは無走者でもセットポジションからの投球に変えた。無駄な動きを無くすことでフォームと制球力の安定化を図ったわけだ。そしてオフ期間にはキャッチボールからフォームを見直し、確かな制球力を追い求めている。課題は、同時に「伸びしろ」とも言える。将来性の豊かな逸材だ。
 本格派右腕として理想像とするのは、昨夏の甲子園大会・準々決勝で投げ合った相手、奥川恭伸(ヤクルト)だ。「奥川さんはスピードもありながら、しっかり制球力の部分も自分でコントロールできていて、やっぱり、どんな場面でもストライクゾーンで勝負ができていて、優位にカウントを進めていけるというのが、投手として楽に抑えられるという部分につながる」。抜群の球威と制球力で、打者との18・44メートルの空間を支配した右腕の投球スタイルに惚れ込んでいる。そして、その背中を追う。
 現時点で、高校卒業後の希望進路はプロ。「自分の中では高卒プロというのが目標としてあるので、そこに向かって取り組んでいます」。自ら掲げた目標を真っすぐに見据え、前に突き進む。(大阪報道部・惟任 貴信)

 ◇小林 樹斗(こばやし・たつと)2003(平15)年1月16日、和歌山県日高郡美浜町出身。松洋中では軟式野球部に所属し、エースとして近畿大会出場。50メートル走6秒4、遠投110メートル。1メートル82、86キロ。右投げ右打ち。

 ※ 本記事の動画は「スポニチチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCCDmd01WsuFBF8n3yMjHQ1A)において本日正午頃、配信予定。次回は3月23日配信予定です。(記事、動画の内容は新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の臨時休校要請が出る以前に取材したものです)

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