ヤンキース・田中 日本投手初のGグラブ賞へ着実に刻み続ける「印象」

[ 2018年11月21日 09:00 ]

5月28日のエンゼルス戦で、投ゴロを二塁封殺するヤンキース・田中
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 セイバーメトリクスの発展により、野球における守備力を測るための代表的な2つの指標がある。守備防御点(Defensive Runs Saved・DRS)と、アルティメット・ゾーン・レーティング(Ultimate Zone Rating・UZR)の2つ。いずれも概念は「同じ守備位置の平均的な守備能力の選手と比べ、守備でどれだけの失点を防いだか」を表す。うち、守備範囲を測ることが難しい投手と捕手は、UZRはなくDRSのみ算出されている。

 算出にはMLB全試合をビデオ解析。球場をエリアごとに何分割もし、打球の強さや弱さも含め、平均ならセーフとなる打球をアウトにできたかなどを加算していく。バント処理や中継なども加味される。

 ヤンキース・田中将大投手はゴールドグラブ賞の3人の最終候補に名を連ねながら、惜しくも日本投手初となるタイトルを逃した。

 田中は今季、156投球回と規定投球回に届かなかった。一方でDRSは7で、150回以上投げた投手ではア・リーグトップ。ナ・リーグに目を広げてもグリンキー(Dバックス)、タラン(ブレーブス)がそろって7でトップで、メジャートップタイの数字だった。

 田中の守備力の高さは、単なる捕球のフィールディングだけではない。象徴的だったのは8月16日のレイズ戦。5回1死一塁と、6回2死二塁でけん制死を2度奪った。

 「特に派手なプレーができるわけじゃないですけど。自分を助けることにつながるし、流れを断ち切ることもある。凄く大事な部分だと思います」と田中。楽天時代も最終13年まで3年連続ゴールデングラブ賞に輝いていた。盗塁を未然に防ぐクイックも、1・2秒以下を的確に刻む。

 「投手の守備のミスから流れが変わるゲームなんていっぱい見てきた。進塁も止められるところは止めたいし、アウトにする部分はしたい」

 最終候補入りには「やっとか、という感じですね」と自負ものぞく。「印象とかももちろんあるだろうし。でもファイナリストに残れたのは1個前に進めたかなと思う」。

 田中の言葉を借りるわけではないが、4度目となるタイトルを獲得したカイケルの今季DRSは半分以下の3に過ぎない。ただ、田中の米1年目14年からの5季通算で見ると、メジャートップの42。田中は同期間25で、カイケルに次ぐア・リーグ2位と十分立派なのだが、過去の実績からくる「印象」には差があったのだろう。ゴールドグラブ賞は各チームの監督・コーチの投票で選出される。

 その「印象」も、3人の最終候補入りでまた変わったはず。田中が自主トレ、キャンプから取り組んでいくアプローチは何か変わるわけではない。継続の延長線上に日本投手初となる輝きが待っていても何の不思議もない。(記者コラム・後藤 茂樹)

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