オリ誤審問題“再試合”求め提訴 受理されれば“江川事件”以来2例目

[ 2018年7月7日 05:30 ]

誤審問題で会見する湊球団社長(左)長村球団本部長(右)(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 オリックスは6日、6月22日のソフトバンク戦で起きた誤審問題に関して日本野球機構(NPB)の斉藤惇コミッショナーに提訴状を提出し、誤審があった場面から試合を続行する裁定を求めた。NPBによると、1971年に明記された野球協約第20章第188条に基づく提訴は、08年に起きたオリックスとソフトバンクのパウエル二重契約問題以来3例目。受理されて裁定に至れば、78年の“江川事件”以来、2例目となる。

 審判団が試合後に誤審を認めた騒動は2週間が過ぎ、異例の事態を迎えた。6日午前中に横田昭作連盟担当が都内のNPB事務局を訪れて斉藤コミッショナー宛に提訴状を提出。受理されるかどうかを含めて今後検討されることになった。

 京セラドーム大阪で会見した湊通夫球団社長は改めて誤審が起きた場面からの「続行試合」を求め、「長期化は望んでいない。斉藤コミッショナーに裁定を求めるということ。裁定は最終決定なので従うつもり」と説明した。

 NPBは「審判員の判断に基づく裁定については、どのような提訴も許されない」と定めた野球規則に基づき、本塁打裁定を最終判断として試合のやり直しを実施しないことを2度にわたって回答。オリックスは誤審と認めるしかないような映像で判定をファウルから本塁打に覆したことを問題視し、「審判員の判断そのものへの異議ではなく、リプレー検証制度の適用についての異議」と従来の主張を繰り返した。

 同社長は野球協約第3条にうたわれる「野球の権威及び技術に対する信頼を確保する」との文言も流用し、「審判員自らが試合終了直後に誤審と認めている以上、やり直すのが社会通念上、公平だ。救済が謝罪だけしかないというのはフェアではない」と訴えた。

 【6月22日のオリックス―ソフトバンク戦での誤審】3―3の延長10回2死一塁。ソフトバンク・中村晃がカウント2―2から9球目を打った右翼ポール際への打球がファウル判定され、工藤監督がリクエストによるリプレー検証を要求。判定が本塁打に覆り、2点を勝ち越して5―3で勝利。試合後に福良監督らも立ち会った上で映像を約20分かけて見直した結果、審判団がファウルだったと認めた。

 誤審騒動の経過 ★6月23日 試合翌日に友寄審判長らがほっと神戸を訪れて謝罪。オリックス側は当該プレーからの続行試合を含めた要望を出した。

 ★同26日 NPBは誤審があった場所からの続行試合を認めない回答。オリックス側は「納得いかない」と文書で反論。再回答を求める。

 ★同27日 オリックスが26日提出の反論文書を公式サイトに掲載。

 ★7月2日 オリックスが非公開扱いのNPB再回答書の公開を要求。湊球団社長「ファンがどう思っているかが大事」と訴えた。

 ▽江川事件 1978年、巨人がドラフト会議前日に江川卓との契約を強行した「空白の1日」事件で金子鋭コミッショナーは無効の裁定を下し、巨人はドラフト会議を欠席。交渉権は阪神が獲得した。巨人はドラフトの無効を求めて提訴。金子コミッショナーは裁定で巨人の訴えを退けた後に「まず阪神に入団させ、巨人にトレード」との「強い要望」を表明。翌79年1月31日、小林繁とのトレードが成立した。

続きを表示

2018年7月7日のニュース