イチ 4安打もジーター離脱に衝撃「言葉が見当たらない」

[ 2012年10月15日 06:00 ]

<ヤンキース・タイガース>引き揚げるヤンキース・イチロー(右から2人目)らヤンキースナイン

ア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦 ヤンキース4―6タイガース

(10月13日 ニューヨーク)
 イチローに頼るしかない。ヤンキースは13日(日本時間14日)、タイガースとのア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦で延長12回の末に敗れた。「2番・左翼」で先発したイチロー外野手(38)は、9回にポストシーズン初本塁打を放つなど4安打2打点。デレク・ジーター内野手(38)が左足首を骨折する緊急事態も発生し、ワールドシリーズ進出のためにイチローに懸かる期待はさらに大きくなる。なお、14日(同15日午前5時7分開始)の第2戦は黒田博樹投手(37)が中3日で先発する。
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 誰もが言葉を失っていた。4時間54分に及ぶ激闘の末に黒星を喫し、午前1時を過ぎたクラブハウス。敗戦以上にジーターの負傷が大きな衝撃を与えていた。左足首を骨折したジーターのロッカー前は泥や土が散乱したまま。イチローもニット帽からのぞく表情は沈んだままで「きょうは勘弁してください。言葉が見当たらない」と小声で話すのがやっとだった。

 最大の危機を迎えた。4点差の9回1死二塁でイチローが右翼ポール際の2ランで反撃ののろしを上げると、2死二塁からイバネスが同点2ランで続き延長戦に持ち込んだ。ところが、延長12回に勝ち越しを許すと、守備中に主将が故障。ジョー・ジラルディ監督も「試合に勝てずジーターを欠くことになってがっかりだ」と肩を落とした。

 年齢はイチローが1歳上だが、ジーターの存在こそがヤ軍を結束させる理由であり、強さの秘密とイチローは感じていた。高い理想を追い求める盟友が、志半ばで戦列を離脱するショックは計り知れない。ヤ軍に加入した7月23日以降、ジーターには常に気を配られ、厚い信頼関係も築いた。移籍後初の5打点を挙げた8月10日のブルージェイズ戦では「何て選手だ!イチってヤツは」と感嘆された。8月13日のレンジャーズ戦ではメジャー初の9番に入り、打席に入る直前に1番のジーターから「三塁打を頼むぜ」とお願いされた。すると右中間三塁打を放ち、主将の右中間二塁打で生還したこともある。

 だが、離脱は曲げられない事実。指揮官も「前に進まなければならない」と話した。イチローはこの日は延長11回に中前打を放つなど自身ポストシーズン初の1試合4安打。今ポストシーズンでのチーム打率は・216。主軸のカノ、ロドリゲスが絶不調となれば、チームを引っ張れるのはもうイチローしかいない。

 第2戦からは主将に代わり、1番に入ることが確実。イチローが、ピンストライプのプライドを見せる時がやってきた。

 ≪移籍後1番先発は18打数7安打≫ヤンキース移籍後、イチローが1番で先発したのは4試合で18打数7安打、打率.389、0本塁打、0打点、1盗塁。打点は稼いでいないが、全4試合で安打を放ち、計4得点とリードオフマンとして役割を果たしている。マリナーズに在籍していた移籍前も含めた今季1番での成績は打率.255、3本塁打、10打点、5盗塁。

 ≪実は吉兆≫ヤンキースがリーグ優勝決定シリーズの初戦に敗れたのは過去に3度。うち2度(00、03年)はワールドシリーズに進出しており、突破率は66.7%。なお、初戦白星スタートのチームの進出率は59.5%(42分の25)だが、5回戦制から7回戦制となった80年以降は53.8%(26分の14)と下降。初戦を落としたヤ軍にとっては心強いデータと言える。

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2012年10月15日のニュース