いきなり「みちのく」大谷VS「浪速」藤浪のダル対決!

[ 2012年3月16日 06:00 ]

初戦の相手が大阪桐蔭に決まり、練習試合前のノックでもはつらつとした動きを見せる花巻東・大谷

第84回選抜高校野球大会組み合わせ抽選会

 いきなり注目の対決だ。第84回選抜高校野球大会(21日から甲子園=日本高校野球連盟、毎日新聞社主催)の組み合わせ抽選会が15日、毎日新聞大阪本社オーバルホールで行われ、出場32校の対戦相手が決まった。花巻東(岩手)と大阪桐蔭(大阪)が初日の第3試合で激突。ともに身長1メートル90超で「ダルビッシュ2世」の異名を持つ大谷翔平投手(3年)と藤浪晋太郎投手(3年)の大型右腕対決が実現する。また、昨年の東日本大震災で被災した石巻工(宮城)の阿部翔人主将(3年)が選手宣誓を務める。
【日程 組み合わせ】

 優勝候補同士のいきなりの激突に、会場はどよめいた。花巻東と大阪桐蔭。エースはともに最速150キロをマークし、身長1メートル90を超える、「みちのくのダルビッシュ」と「浪速のダルビッシュ」の異名を持つ2人の対決。大谷は「藤浪君は凄くいい投手。自分よりも身長が高いし球も速い。凄く強いチームとやらせていただけるので、チームのみんなも“やってやろう”という気持ちです」と対戦を待ちわびた。

 昨夏に左股関節骨端線を損傷し、甲子園では先発マウンドに立てなかった。初戦の帝京戦では救援登板し150キロを計測したが、チームは敗れた。リハビリのため秋季大会は登板がなかっただけに「昨年はケガをしていたし負けたので苦い思い出しかない。この選抜で去年の借りを返したい」と意気込む。注目が集まる投げ合いとなるが「自分と藤浪君の戦いではなくて、チームの戦いなので。気持ちの面で負けないように頑張りたいです」と平常心で甲子園のマウンドに上がるつもりだ。

 同時に、復興への思いを胸に全力で腕を振る。部員19人が岩手県沿岸部の出身で、昨年の大震災で自宅や家族を失った選手もいる。震災後は全体練習ができず野球に集中することは困難だった。

 「復興はまだ進んでいない。自分たちができることは野球で一生懸命プレーすることしかできない。試合で勝って、岩手にも元気を与えたいと思います」。震災で亡くなった人のことを忘れないため、野球ができることに感謝するため、練習前には全員で黙とうを行ってきた。甲子園では全力プレーで被災地に勇気を届ける。

 股関節は順調に回復し、3月の練習試合では3試合計11回を投げ無失点。「まだまだ課題があるので、低めに集めてゴロを打たせるように調整したい」と納得はしていないが、仕上がりは順調だ。非凡な才能は高校通算36本塁打の打撃にも表れる。この日の神戸弘陵との練習試合(兵庫)では「3番・右翼」で先発し2本の二塁打を放った。

 佐々木洋監督は「まさか初日に当たるとは」と驚いたが「注目される2人ですし、私も楽しみ。大谷は順調ですし、頭(先発)で行けると思います」と自信を持って送り出す。まずは「ダルビッシュ対決」を制して東北勢初の全国制覇へ。大谷が甲子園で「復興元年」のシンボルとなる。

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