二岡、代打満塁弾!全力疾走覚悟も走らずに済んだ

[ 2011年7月10日 06:00 ]

<日・楽>5回1死、代打満塁弾を放った二岡(中)は稲葉(左)とハイタッチ。右は中田

パ・リーグ 日本ハム7―1楽天

(7月9日 旭川)
 「必殺仕事人」の底力だ。1点リードの5回1死満塁。日本ハムの「代打・二岡」のコールに、楽天ベンチは左腕・佐竹からすかさず川岸にスイッチした。しかし二岡は動じない。初球から果敢に打ちに行く。「途中から出る難しさ。気持ちを抑えているが、振ってしまう自分もいる」。その後もストライクは全て手を出し、最後は7球目のスライダーを中堅左の芝生席へ。巨人時代の06年4月30日の中日戦(東京ドーム)で史上初の2打席連続満塁弾を放って以来、通算6本目のグランドスラム。代打本塁打は初体験だ。

 「あそこは右が来ると思った。でも犠飛だって簡単には打てないから、内野ゴロでもいいから走るつもりでした」。昨年8月25日(盛岡)に3ランをマークした川岸相手でも、謙虚に集中して1球に懸けた。「あの一振りが効いた。集中力と粘り強さ。相手ベンチも二岡がいるだけで嫌がる。走らんでいい、と見ていたら本当に走らなかったしね」。チームを40勝到達へ導いた一発に梨田監督が賛辞を並べれば、福良ヘッド兼打撃コーチも「追い込まれてからでも、打席内で対応力はある」と勝負強さを称えた。

 走らなくていい。なぜなら足に故障を抱えているからだ。リーグ戦再開直後。長期離脱の要因となってきた右太腿裏に再び痛みを訴えた。出場選手登録抹消まで覚悟しながら6月29日、札幌市内の病院でMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けた結果、軽度の大腿二頭筋筋挫傷と判明。肉離れという最悪の事態でなかったことから、首脳陣は先発投手枠を6から5にしてでも代打の切り札としてチームに同行させることを選択した。二岡も勝利のためならと、足の故障を忘れて全力疾走する覚悟を固めていた。

 年に1度の旭川シリーズで貯金も今季最多の18。女性ファンを筆頭に2万4272人で埋まったスタンドの大声援に頭を下げると、5年ぶりの満塁弾には「そこはマスコミがあおればね。それよりチャンスで打てたことが大きい」。クールな二岡は、やっぱり頼りに、そして絵になる男だ。

 ▼日本ハム中田(3回に右中間二塁打)調子は悪くない。あっち(右)方向に強い打球を打ててよかったです。

 ▼日本ハム稲葉(ここ4試合は5番で出場。今季4度目の猛打賞)まだ打順もどこか分からない、と思ってやっている。謙虚にいきますよ。

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