4度目の挑戦で…杉内「特別な通過点」通算100勝

[ 2011年7月10日 06:00 ]

<ソ・ロ>公式戦通算100勝を挙げた杉内はウイニングボールと花束を手にファンの声援に応える

パ・リーグ ソフトバンク4―0ロッテ

(7月9日 ヤフーD)
 苦しんでつかんだ1勝は、ソフトバンク・杉内の野球人生に重なるようだ。8回を6安打無失点で今季5勝目。4度目の挑戦で通算100勝を達成した左腕は「正直、入団当時からできると思ってなかった。特別な通過点」と喜びに浸った。89年の福岡移転後に入団した選手では初の大台到達となった。

 6月11日のヤクルト戦(ヤフードーム)で99勝目を挙げてから、約1カ月も勝ち星から見放された。直球で空振りが奪えない。この日も8回で6奪三振。それでも前回2日のオリックス戦(京セラドーム)後に腕の位置をやや下げたことで、スライダーとチェンジアップが本来の切れ味を取り戻し、本調子ではない直球をカバーした。

 杉内は10年を振り返る。「初めて10勝した時つかんだと思った。でも、翌年は勝てなかった。つかんでは鼻を折られる繰り返しだった」。03年に初の10勝を挙げたが、04年は2勝。05年に18勝で初の最多勝を獲得したが、06年は7勝に終わり、いつしか「隔年投手」のレッテルを貼られた。

 エースに成長できたのは人並み外れた器用さだ。「松坂世代」の一人として注目を集めた鹿児島実時代を知る当時スカウト部長の小川一夫2軍監督は「左のカーブがいい投手は手先が器用」と将来性を見抜いていた。一級品のチェンジアップとスライダーは毎年のように握りを変える。球界屈指の左腕となった今も、フィリーズのエース左腕ハメルズのチェンジアップを練習するなど探求心が衰えることはない。

 通算100勝を達成した129人の中で、勝率・662は4番目の高さ。それはまさにエースの数字だ。「名球会入りは200勝でしょ。夢として250勝を目指します」と胸を張った杉内には、夢を現実にする力がある。

 ≪救援勝利なしは杉内だけ≫杉内が通算100勝を達成した。プロ野球129人目。チームでは前身球団も含め7人目。初勝利はダイエー時代の02年4月1日のロッテ戦で記録。通算100勝の最速到達はスタルヒンの165試合だが、杉内の215試合は歴代15位タイ。チームでは杉浦忠(当時南海)の188試合に次ぐペースになった。なお、杉内の白星は全て先発で挙げたもの。通算100勝以上で救援勝利がないのは杉内だけ。また、敗戦は51で勝率は・662。100勝以上では藤本英雄・697、大友工・695、稲尾和久・668に次ぐ4番目の高勝率だ。

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