双葉から転校の球児 埼玉大会開会式で感動の再会

[ 2011年7月10日 06:00 ]

開会式後、笑顔で握手する鎌田(右)と猪狩

 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は9日、26大会で開幕(西東京大会は試合なし)。すでに開幕している沖縄、鹿児島を含む27大会で79試合が行われた。首都圏地区も開幕し、埼玉大会開会式では東日本大震災による原発事故の影響で、双葉(福島)から転校した川越西の鎌田尚幸選手(3年)と浦和東の猪狩優樹選手(2年)が感動の再会を果たし、健闘を誓い合った。10日は神奈川大会が開幕。29大会で336試合が行われる。

 11日で東日本大震災から4カ月。福島から遠く離れた埼玉大会開会式でうれしい再会があった。鎌田と猪狩は双葉の先輩後輩。120日ぶりの対面を果たすと笑顔で握手を交わした。猪狩は「まさか先輩がいると思わなかったのでビックリです」と驚きを隠せない様子だ。

 双葉は過去3度の甲子園出場を誇る名門校。震災発生時は福島第1原発から20キロの警戒区域内にある同校グラウンドで練習中だった。震災後、部員は27人から13人に減った。名門復活のために地元に残ることを決めた岩田主将から2人の元に「戻ってきて野球はできないか」のメールが届いたが、この時点で転校が決まっていた2人は断ることしかできなかった。

 鎌田は震災後、喜多方市で避難生活を送り、4月に一家6人で埼玉に移住。川越西で背番号15をつけて最後の夏を迎える。一方、猪狩は茨城と埼玉の親戚の家を転々としながら、5月にさいたま市内で家族5人で生活を始めた。浦和東では2年生ながら正捕手として4番も任される。ともに12日が初戦。川越西は進修館、浦和東は児玉―岩槻北陵の勝者と対戦。勝ち上がれば準決勝で激突することになるが、元チームメートでも今はライバル。鎌田が「負けられない」と言えば、猪狩も「先輩だけど勝ちます」と応じた。

 13日には福島大会が開幕する。「初戦突破を報告して双葉の仲間を勢いづけたい」と2人は口をそろえた。目標は同じ。「地元を勇気づけたい。そして甲子園で双葉の仲間と再会する」。故郷への思いを込めた戦いが始まる。

 ▼双葉・田中巨人(なおと)監督 背番号をもらえたのですね。頑張っていると聞くと、凄くうれしいしホッとします。他のチームの一員になっても、個人の活躍だけじゃなく、チームに貢献できるような選手でいてほしい。2人の活躍がきっと双葉の選手の刺激にもなるはずです。

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2011年7月10日のニュース