メジャー挑戦か、国内か…菊池の決断に注目

[ 2009年9月26日 16:46 ]

全国高校野球の長崎日大戦で力投する花巻東高の菊池雄星投手

6、7球団が興味…菊池に米球界の関心高まる

 米大リーグか、日本のプロ野球か。進路が注目される高校球界ナンバーワン左腕、菊池雄星投手(岩手・花巻東高)が26日開幕した新潟国体で、高校生活最後の公式戦に臨む。大会後には国内外のプロ入りに必要なプロ志望届を提出し、メジャー球団の話を聞いた上で意思表明する。球界に衝撃を与えかねない、18歳の決断が目前に迫る。
 ▽強行指名も
 菊池投手は今夏の甲子園で左腕最速の球速154キロを記録するなど、日本では貴重な本格派サウスポーだ。しかも今秋のドラフトは不作とされ、楽天や阪神など多数の球団が早々と1位候補に挙げた。史上最多の8球団を超える1位指名も予想され、メジャー球団のスカウト陣も地方大会にまで視察に訪れた。楽天の三村敏之編成部長は「10年に一人の逸材」と評し、メッツのスカウト、大慈弥功氏は「世界の宝」と絶賛している。
 それほどの逸材だ。一部球団で新たな1位候補を模索して戦略を見直すという動きはあるものの、たとえ菊池投手がメジャー行きを表明しても10月のドラフト会議で強行指名する球団の存在がささやかれる。在京球団の幹部は「うちは指名するかもしれない。去年の田沢とはものが違う。ほかにそういう球団はあると思う」。昨年、社会人から直接メジャーに行った田沢純一投手(レッドソックス)に指名がなかったケースとは違い、波乱含みだ。
 ▽育成法も選択基準
 花巻東高の佐々木洋監督は進路を選ぶポイントに、育成システムの充実度を挙げた。大慈弥氏は「メジャーは球数とイニングを制限し、すそ野が広い下部組織で実力に応じて育てる。日本で多々ある、無理使いしてつぶすことは皆無」と優位性をアピールする。
 対して、育成に定評がある日本ハムの島田利正チーム統括本部長は「メジャーはふるいにかける感じ。体のケア、練習を指導するトレーナーやコーチもいない」と反論した。ワールド・ベースボール・クラシック日本代表コーチの伊東勤氏も「日本投手が世界に誇れるのは制球力だった。これは日本の細かい野球で磨くのが最適」と、日本を経由してのメジャー行きを勧める。
 ▽日本球界に温度差
 日本にとって田沢投手に続く有力選手の流出の危機だが、関係者の反応や主張には思惑も絡んで温度差がある。日本高野連の小森年展事務局長は「進路選択は広いに越したことはない。本人や家族が考えること」と基本的に静観の構えだ。
 プロ側には当然、空洞化に拍車が掛かることを懸念する声が多い。一方で、流出防止のための安易なドラフト改革に走る動きへの警戒感も強い。一昨年には西武の裏金問題が起き、一部選手が球団を自由に選択できる「希望枠」の制度が廃止されたばかり。日本ハムの島田本部長は、問題の温床となった希望枠が復活となれば「反対する」とけん制した。

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2009年9月26日のニュース