兄・朗希の分まで…大船渡・怜希 走攻守でコールド発進貢献 自己最速4キロ更新

[ 2023年7月18日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権岩手大会2回戦   大船渡7―0盛岡農 ( 2023年7月17日    きたぎんボールパーク )

<盛岡農・大船渡>初回、二塁に向かう佐々木怜(撮影・木村 揚輔) 
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 ロッテ・佐々木朗希投手(21)の弟で、大船渡のエース右腕・怜希投手(3年)が17日、岩手大会初戦となった盛岡農との2回戦に「2番・中堅」で出場。右中間二塁打で出塁した4回に重盗で先制の生還を果たすと、7回からは救援し1回を1安打無失点に封じコールド発進に貢献した。打って、走って、最後は投げて。兄の果たせなかった甲子園出場という夢をかなえる戦いが始まった。 

 待ち焦がれた夏を、心ゆくまで満喫した。投げるだけじゃない。令和の怪物を兄に持つ佐々木怜は、打っても走っても凄かった。雨天順延が続き3日遅れで迎えた初戦。19年夏に兄が果たせなかった悲願の甲子園へ向け、走攻守の三刀流の活躍でチームを快勝発進へ導いた。

 兄もつけた背番号「1」を背に、堂々とマウンドへ向かった。抑えればコールドが決まる7―0の7回。3番手としてマウンドに立つと、豪快に右腕を振った。2球目に自己最速を4キロも更新する143キロを記録。「四球を出してふがいないピッチングでした。球が荒れていたのでそこを修正できれば」。自己評価は厳しめだったが、1回を1安打1四球無失点で締め試合終了。「まずは1勝できてホッとしています」と汗を拭った。

 「1点欲しくて。勝ちたくて必死でした」

 自慢の快足で突破口を開いた。4回先頭。2球目の外角高め直球を、逆方向の右中間へ運ぶ二塁打とした。その後1死一、三塁と好機を拡大。抜群の野球センスを発揮したのは、6番・熊谷大我(3年)への初球だ。

 一塁走者の及川駿(3年)がスタートを切った。相手捕手の二塁への送球が「ピッチャーの上を通った」瞬間に、三塁から本塁へ疾走した。スライディングして、先制のホームイン。「実はサインを見ていなくて…。でも狙えると」。50メートル走6秒2の俊足を飛ばし、とっさの判断で重盗を成功させた。

 本格的に投手を始めたのは2年秋から。今はまだドラフト候補には挙がらないが、わずか半年で143キロを計測するなどポテンシャルは高い。地道にトレーニングを積み重ねていけば、プロの世界に名を連ねる可能性は高まっていく。

 大会前には兄から「頑張れよ」とLINEでメッセージを受け取った。「ありがとう、と返しました」。笑みを浮かべつつ、最後は口元を引き締めた。「次も勝って、勝って勝って甲子園へ行けるように頑張りたいです」。春夏連続出場した84年以来、39年ぶりの甲子園へ。高校最後の夏は、まだ始まったばかりだ。(村井 樹)

 ◇佐々木 怜希(ささき・れいき)2005年(平17)4月25日生まれ、岩手県出身の18歳。小3から猪川野球クラブで野球を始める。大船渡一中では軟式野球部に所属。大船渡では高2の秋から投手に挑戦し、今春から背番号1。兄はロッテの朗希。50メートル走6秒2、遠投100メートル。好きな選手はオリックスの山本。1メートル78、72キロ。右投げ右打ち。

 ▽19年夏岩手大会の佐々木朗希 大船渡のエースとして決勝に進出したが、甲子園にはあと一歩及ばなかった。4回戦の盛岡四戦では先発として延長12回、194球を投げ抜き最速160キロをマークするなど21奪三振。中2日の準決勝、一関工戦も先発として129球を投げ2安打完封した。しかし連戦となった決勝は登板を回避。花巻東に敗れ、甲子園出場はならなかった。全6試合中4試合に先発し、計29回で435球を投げ9安打2失点、51奪三振。防御率0.62と圧巻の成績を残した。

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