第2の故郷・宮城で祖父母孝行 阪神・佐藤輝、セ界タイ三塁打×2でベイと今季最大6.5差

[ 2023年6月8日 05:15 ]

交流戦   阪神11―3楽天 ( 2023年6月7日    楽天モバイル )

<楽・神>3回、先制の3点適時三塁打を放つ佐藤輝(撮影・光山 貴大)
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 阪神は7日の楽天戦に11―3で大勝。貯金を今季最多タイの18とし、2位・DeNAとのゲーム差を今季最大の6.5に広げた。3回1死満塁で5番・佐藤輝明内野手(24)が、走者一掃となる3点三塁打を放つと、5回にも再び三塁打で得点機を演出。セ・リーグ最多タイ記録で、猛虎クリーンアップでは58年ぶりとなる1試合2三塁打で、応援に駆けつけた祖父母が在住する第2の故郷・宮城で孝行した。

 第2の故郷で、背番号8が輝いた。敵地でのヒーローインタビュー。宮城・村田町から応援に駆けつけた祖父・勲さん(84)、祖母・美智恵さん(84)が見つめる前で、孫・佐藤輝は照れ笑いを浮かべながら胸を張った。

 「うれしいです。目の前で打つことができてよかった」

 3回1死満塁。田中将の低め直球を捉えた打球は、右翼手の差し出すグラブから逃げるように伸びた。チームを先制に導く走者一掃の3点三塁打。「しっかりはじき返せた」。初回2死一、二塁の好機では、打ち損なった左飛にバットを叩きつけて悔しがっていた和製大砲。三塁塁上で、何度も両手を叩いて喜びを表現した。

 続く5回1死の第3打席でも、右中間を真っ二つに割って好機演出。リーグ最多タイ記録で、球団クリーンアップ打者では58年ぶりの1試合2三塁打。梅野の右前適時打で4点目の生還を果たした。「いい投手なので、しっかり振っていこうと思っていた」。この回限りで降板に追い込んだ田中将と阪神は楽天復帰後3年連続対戦し、三たび土を付けた。佐藤輝自身もルーキーだった21年にこの日と同じ舞台でアーチを描いた相手に、再び痛打を浴びせた。それでも「あまり(2年前の意識は)なく、普通にいきました」と涼しい表情で振り返った。過去は過去。現在の田中将と真っ向勝負し、打ち砕いたのだった。

 楽天モバイルでは21年の球宴第2戦でもオリックス・宮城からアーチをかけるなど、宮城在住の祖父母が見守る前では常に勇姿を届けてきた。小学校入学前から野球を教えてくれた“師”には好物のお茶、いつも優しく包み込んでくれる美智恵さんには花などを、事あるごとに、感謝の気持ちを添えて贈る。毎日メールをやりとりする美智恵さんは「優しい子なんです。もう少し強い子になってほしいぐらい」と目を細める。孫の活躍を仙台で見届けられるのは、ひとまず、8日でラスト。「石の上にも三年じゃないけど、何とか上向きに、順調に進んでほしい」と3年目の飛躍にエールを送った勲さんは「願わくば、オーバーフェンスが見たいね」と願った。

 試合後に思いを伝え聞いた佐藤輝は「頑張ります」と短い言葉に決意をにじませた。10打席ぶり安打、11試合ぶり打点で底は脱した。あとは豪快な放物線を、愛する2人の脳裏に刻みつけるのみだ。(阪井 日向)

 <クリーンアップでは58年ぶり>○…佐藤輝(神)が3回と5回のゲーム2三塁打のセ・リーグタイ記録。阪神では今季4月19日の広島戦で近本が6、7回に打って以来の球団タイ記録。達成者は過去多数いるが、今回5番で打った佐藤輝のように、阪神先発3、4、5番のクリーンアップの記録は、57年4月28日国鉄戦の4番・田宮謙次郎、59年9月19日巨人戦の4番・藤本勝巳、60年5月29日巨人戦の4番・藤本、65年7月3日巨人戦の3番・藤井栄治に続く58年ぶり、2リーグ制以降4人目で5度目。

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