阪神「8回の男」湯浅に“一片の悔いなし” 被弾も引きずらない…勝負球への強烈な自信

[ 2022年9月3日 16:42 ]

阪神の「8回の男」湯浅
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 活躍しているから近づいているわけではないが、阪神・湯浅に取材する機会が増えている。「増えた」というより、そもそも今年が“初めまして”。コロナ下の取材規制もあって名刺を切ってあいさつしたのは開幕後だ。昨年まで1軍での登板わずか3試合だった右腕が2日の巨人戦でシーズン50試合登板に到達した。実質1年目の23歳がセットアッパーとしてどんな思考でしびれる8回のマウンドに上がっているのか、日々のケアは…。故障に苦しみ2軍で下積みも経験している。こんな“一見もの”の中年記者にも、いつも丁寧に対応してくれる。

 先日は“究極の1球”について話を聞いた。きっかけは、梅野が若手投手に関して「これ打たれたらどうしよう、じゃなく“これを打たれたら仕方ない”と思えるボールを作っていきたい。それがバッテリーとして最上級(の形)」と口にしていたから。女房役のそんな言葉を伝えると、深くうなずいた。「何回か首を振ってスライダーも投げていますけど、(勝負球の)まっすぐとフォークは決めていく以上は自分の中で後悔はない」。

 今季、痛打を浴びたのを探す方が難しいが、覚えているのは7月1日の中日戦(バンテリンドーム)。同点の8回2死二塁でアリエル・マルティネスに146キロの直球を左翼スタンドに運ばれた。決勝2ラン被弾という形だが湯浅は「インハイにいくと決めて打たれたやつなんで後悔はないです」と振り返った。梅野の言葉に通ずるウインニングショットへの自信と、失敗を引きずらないメンタル。12球団のリリーフ投手を見渡しても圧倒的な数字を残している理由が分かった気がした。

 “失速”知らずで駆け抜けようとしている飛躍の1年。心構えや、持ち球への思いを聞くと記者席から見える景色も少し変わって筆にも力が入る。(記者コラム・遠藤 礼)

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2022年9月3日のニュース