日本ハム・大海が球団34年ぶり入団から2年連続10勝「トンボのように前だけ見て」最多勝目指す

[ 2022年9月3日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム3―1楽天 ( 2022年9月2日    楽天生命 )

<楽・日>2年連続2桁勝利の日本ハム・伊藤は10個の星を首からかけて笑顔でビッグボスポーズ(撮影・篠原岳夫)
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 日本ハムの伊藤大海投手(25)が6回8安打1失点と粘りの投球を見せ、入団から2年連続2桁となる10勝目を挙げた。球団では88年の西崎幸広以来34年ぶり9人目の快挙となった。

 10勝を意味する10個の星が連なった首飾りがカクテル光線に照らされて輝いた。伊藤は8月2日のソフトバンク戦で9勝目を挙げてから1カ月、「四度目の正直」でようやく10勝に到達。8安打を浴びながらの粘りの投球とあり「見ている側には心臓に悪い内容だったけど、気持ちを切らすことなく投げられた。(10勝は)ずっと意識していた」とホッとした表情を見せた。

 登板前にパドレス・ダルビッシュがカットボールの投げ方を伝える動画を視聴。不調だったこの球種を「改良して使えた」と、全投球に占める割合が今季最多の19・8%(101球中20球)と多投した。昨夏東京五輪に臨んだ侍ジャパンで同僚だった広島・森下から教わったチェンジアップを五輪後から持ち球に加えるなど、新球をすぐモノにできる器用さが勝てる理由の一つだ。

 西崎幸広氏はトレンディーエースと呼ばれた。SNSを使いこなす伊藤は自身の発信力でトレンドを生み出す「トレンドエース」といったところか。東京五輪の準決勝では韓国ベンチから「ロジンの付け過ぎではないか」と抗議を受けながらロジンを付け直す度胸を見せ、自身のツイッターで投稿した「追いロジン」がトレンド入りした。初出場した今夏球宴では追いロジンにかけた「爆煙投法」が話題を集め、8月31日の25歳の誕生日には「伊藤大海」がトレンド入りした。キャッチーな言葉でトレンドを生み出す現代っ子だ。

 白星に見放されたまま迎えた誕生日。両親に感謝の思いを伝えると、父・清光さんから前にだけしか飛ばないトンボを例に「トンボのように頑張りなさい。前だけを見ていなさい」との金言を授かった。気持ちが吹っ切れ「前だけを見て投げました」と感謝した。

 ハーラートップのオリックス・山本に1勝差に迫った。「次のマウンドも楽しんでトンボのように頑張ります」と初タイトルへも前進あるのみだ。6年連続のリーグ優勝完全消滅をこの日も回避した新庄監督は伊藤の良さについて「打者のタイミングを外すうまさ」と指摘。「(首位打者を狙う松本剛と)2人タイトルを獲れたらうれしい」と期待した。(東尾 洋樹)

 《西崎氏が大海に期待「2桁勝利は通過点」》球団のOB会長を務める西崎幸広氏は自身以来の入団から2年連続2桁勝利を達成した伊藤の強みについて、マウンド度胸の良さとどの球種でもストライクを取れる器用さを挙げた。

 「投手不利の厳しいカウントでも、どの球でもストライクを取れる。困った時に真っすぐや得意な変化球しか投げられない投手が多いけど、1つの球種の調子が悪くても違う選択肢がある」

 西崎氏は80年代後半の低迷期の中、入団から5年連続2桁勝利を記録。エースとしての地位を確立した。エースの系譜を継ごうとしている後輩に「2桁勝利は通過点」とさらなる成長を期待する。その上で「上沢君がいてまだ遠慮しているかもしれないけど、自分が投手陣を引っ張っていく気持ちで投げてもらいたい」とエールを送っていた。

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2022年9月3日のニュース