エンゼルス・大谷あと1カ月 MVPに必要な数字は15勝&40発 「印象度」で記者の主観に訴える

[ 2022年9月3日 02:30 ]

エンゼルス・大谷翔平(撮影・篠原 岳夫)
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 ルース超えか、それともマリス超えか――。大リーグはレギュラーシーズンも残り約1カ月となり、ア・リーグのMVP争いに空前の注目が集まっている。米メディアでは、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)が優勢との見方が強いが、エンゼルスの大谷翔平投手(28)が投打ともに成績を伸ばせば、逆転の可能性も十分にある。残り31試合。2年連続受賞への大谷のターゲットとなる数字を探る。(大リーグ取材班)

 8月29日からのエンゼルス―ヤンキース3連戦に合わせて、多くの米メディアがMVP争いに関する特集を組んだ。スポーツ専門局ESPNは「ジャッジVS大谷。根本的に異なる2人の比較方法」と題し、さまざまな観点から比較した。今季最後の直接対決は、大谷が第1戦と第3戦でいずれも決勝アーチ。ジャッジも負けじと第1、第2戦で連発し、両リーグトップの本塁打数を51まで伸ばした。

 現時点での米メディアの見解を総合すると、ジャッジが61年にロジャー・マリス(ヤンキース)がマークした61本塁打のア・リーグ記録を61年ぶりに塗り替えれば、「当確」との見方が強い。98~01年の4年間で、バリー・ボンズ(ジャイアンツ)の73本を筆頭に、マーク・マグワイア(カージナルス)、サミー・ソーサ(カブス)がマリス超えを果たしたが、これらは「ステロイド時代」の記録。投高打低の傾向が強い中、両リーグでジャッジに次ぐ本塁打数2位が36本というのも、数字を際立たせている。

 一方、大谷の最大のアピールポイントはもちろん、二刀流。昨季も打撃3部門の成績ではゲレロ(ブルージェイズ)を下回ったが、9勝を挙げた投手成績も評価されて満票での受賞。残り31試合、投打ともに成績を積み上げれば、ジャッジがア・リーグ新記録を樹立したとしても、逆転の可能性は出てくる。

 近年、MVP選考は打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価する貢献度指数「WAR」が重要視されるが、今季は両者ともに歴史的シーズンを送っており、記者の主観に訴える「印象度」が大事との声もある。そのためにターゲットとなる数字は、打者では「40本塁打」。あと10本だが、昨年6月は自身月間最多の13本を放っている。今年8月は8本と上り調子。9月の26試合に加え、10月も最後の5試合があり、決して届かない数字ではない。40発をクリアすれば、あと18の「100打点」も見えてくる。

 投手では「15勝」が目標。残り5試合の先発が予定されており、4勝するには打線の援護も必要になる。あと24の「200奪三振」は1試合平均5、規定投球回数は1試合平均7イニングでクリアできる。既に「10勝&30発」は大リーグ史上初の快挙だが、「15勝&40発」までアップグレードすれば、リーグで最も価値のある選手を選ぶ「Most Valuable Player」に十分ふさわしい成績といえる。

 シーズン最後の1カ月でどちらが大きなインパクトを残せるか。MVP争いの行方は両者の9月の成績にかかっていると言っても過言ではない。

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2022年9月3日のニュース