【箱根駅伝】駿河台大の31歳・今井 教え子につないだ涙のたすき 教員休職し編入…最初で最後の夢舞台で

[ 2022年1月3日 05:30 ]

第98回東京箱根間往復大学駅伝 往路 ( 2022年1月2日    東京・大手町~神奈川・箱根町 5区間107・5キロ )

5区・永井(右)にたすきをつなぐ駿河台大4区・今井(撮影・島崎忠彦)
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 箱根駅伝の歴史に新たな一ページが刻まれた。史上44校目の初出場となった駿河台大は最下位に沈んだが、4区を走った31歳の今井隆生(4年)は涙を流しながら充実感に浸った。「すがすがしい気持ち。まさか、本当に箱根駅伝に出られるとは思っていなかった」。中学校の保健体育の教員を休職し、目指してきた夢舞台を駆け抜けた。

 先生から、生徒への“師弟リレー”はギリギリで実現した。18位でたすきを受け取った今井は20位に順位を落とし、小田原中継所で教え子の永井竜二(3年)につないだのは繰り上げスタートのわずか2分8秒前。2人で目標としていたリレーを完結させ、永井は「うれしかったし、貴重な経験になった」と振り返り、今井は「一生忘れられない自分の一ページになった」と喜びをかみしめた。

 今井は20年、心理学を学ぶため、自己啓発等休業制度を利用して駿河台大3年に編入。2年間、一回りも年の離れた仲間たちと夢を追いかけてきた。当初は年齢だけでなく、「同じ目標に対しても見方が違っていた」と温度差もあったという。それでも、教師としての経験を伝えながら積極的に会話を重ね、ここまでたどり着いた。

 今井にとっては最初で最後の箱根路。この4月から、再び教壇に戻る。「これが自分のラスト舞台。新しい歴史の一ページを刻めたことは光栄。胸を張りたい」。涙を拭った31歳の4年生が、2年間の挑戦に終止符を打った。

 ◆今井 隆生(いまい・たかお)1990年(平2)8月31日生まれ、東京都出身の31歳。大泉高では陸上部だったが、日体大でトライアスロン転向。その後、トライアスロンの実業団選手として活動し、16年の現役引退後に埼玉県で教員に。指導科目は保健体育。中学教師を休職し、20年4月、自己啓発等休業制度を利用して駿河台大心理学部3年に編入。尊敬するアスリートはソフトボールの上野由岐子投手。1メートル65、53キロ。

 ▼駿河台大 1918年に開設された東京高等受験講習会が前身で駿河台学園を母体に1987年に駿河台大として設立。埼玉県飯能市にキャンパスを構え、法学部、経済経営学部など5学部を持つ。駿台グループとして駿台予備学校などがある。主なOBに18年平昌五輪カーリング男子日本代表の清水徹郎、お笑い芸人のアキラ100%。
 ≪帰ってきた法大の爆走王・徳本監督「甘くなかった」≫法大時代の爆走王として知られる、駿河台大の徳本監督=写真=が箱根路に帰ってきた。最下位で往路をフィニッシュし「やっぱり甘くなかった」と肩を落としたが、今井と永井による師弟リレーを実現させるなど見せ場はつくった。伴走車からは4区の今井へ「腕を死ぬ気で振れ!」と“徳本節”全開でエール。復路へ向け「繰り上げなく、たすきを渡すのが目標」と誓った。

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2022年1月3日のニュース