空手・組手男子 荒賀は銅メダル、準決勝で敗れ涙「金メダル獲りたかった」

[ 2021年8月8日 05:30 ]

東京五輪第16日 空手組手男子75キロ超級 ( 2021年8月7日    日本武道館 )

男子組手75キロ超級準決勝 サウジアラビアのハメディ(左)を攻める荒賀龍太郎=日本武道館
Photo By 共同

 組手男子75キロ超級で荒賀龍太郎(30=荒賀道場)は準決勝でサウジアラビア選手に敗れたものの、銅メダルを獲得した。男女各3階級が実施された組手は、他の5階級でいずれも日本勢が1次リーグ敗退。大トリで登場した荒賀がメダル0の危機を救うとともに、空手発祥国の意地を見せた。同女子61キロ超級の植草歩(29=JAL)は1次リーグで敗退した。

 組手勢の最後のとりでとなった荒賀が意地を見せた。1次リーグでアクタシュら強豪ひしめくA組で3戦3勝(1試合は相手棄権のため中止)の1位通過を決め、メダルが確定。だが準決勝は本来は1階級上のハメディの長いリーチに苦しみ、この日初めて先取を許すと、攻め手なく0―2で敗戦。涙があふれた。

 「五輪の舞台に立てたことに感謝の気持ちでいっぱい。だからこそ、金メダルを獲りたかったので悔しい」

 愛称は「スピードドラゴン」。相手との間合いを一気に詰め、上段突きを入れるその早業から、国内最強を誇ったジュニア時代からそう呼ばれる。原点は父・正孝氏に手ほどきを受けた少年時代の特訓だ。急坂を利用した突きの練習。上りで筋力を鍛え、下りでスピード感覚を体に植え付けた。誰よりも愛情深く、厳しく育ててくれた父であり師匠。「苦しい時に“逃げるな、下がるな”と(心の声が)聞こえてきた。金メダルを掛けてあげたかった」と話し、また涙がこぼれ落ちた。

 ケガが絶えず、打撃へのトラウマから18年後半からは勝てない試合が続いた。今年5月のプレミアリーグ(PL)リスボン大会では、右手親指にひびが入るアクシデントも乗り越えた。24年パリ大会では実施されない空手。「これからも素晴らしさを伝えていきたい」と、メダリストとして新たな使命を背負った。

 ◇荒賀 龍太郎(あらが・りゅうたろう)1990年(平2)10月16日生まれ、京都府出身の30歳。京都外大西高、京産大出。史上最年少の19歳で09年に全日本選手権を初優勝し、これまで5度制覇。16年世界選手権優勝。姉・知子(ともこ)さんも組手の元世界女王。1メートル84。

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