服部勇馬73位 家族の絆で粘りの完走 足を引きずりながら…ゴール直後に倒れ込み車いすで運ばれる

[ 2021年8月8日 09:27 ]

東京五輪第17日 陸上男子マラソン ( 2021年8月8日    札幌市内 )

ゴール直後に倒れ込む服部勇馬(ロイター)

 東京五輪男子マラソンが8日、札幌市内の周回コースで行われ、服部勇馬(27=トヨタ自動車)が歯を食いしばりながら2時間30分8秒の73位でゴールした。

 東洋大時代に箱根駅伝の2区で2年連続区間賞。大学時代に華々しい実績を積み上げた箱根のスターは、目標としてきた東京五輪で粘りの走りを見せた。中間点過ぎに先頭集団から遅れ始め、終盤に失速したが、必死に前を追った。棄権者が相次ぐなか、足を引きずりながらも走り抜き、歯を食いしばりながら完走。ゴール直後は倒れ込み、車いすで運ばれた。

 16年のトヨタ自動車入社当初はマラソンで結果が出せずに苦しんだが、過酷なトレーニングで地力をつけ、19年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で2位に入り、五輪代表を決めた。

 五輪への道を切り開いたMGCで着けたお守りは、妹・葉月さんが作ってくれたもの。そのお守りには、17年に亡くなった祖父母の写真を忍ばせていた。「(家族の)思いを持って走れた」。2人の弟のうち、陸上を続けている弾馬(トーエネック)は東京五輪出場を逃したが、五輪前までの1カ月は兄弟合宿を行い兄をサポート。もう1人の弟の風馬さんは、2人の兄が陸上に専念できるように家業を継いだ。服部が家族の絆を力にして、夢舞台で力走した。

 ◆服部 勇馬(はっとり・ゆうま)1993年(平5)11月13日生まれ、新潟県十日町市出身の27歳。仙台育英高から東洋大に進学。箱根駅伝で花の2区で2年連続区間賞。16年2月、初マラソンとなる東京マラソンで12位。18年12月の福岡国際では2時間7分27秒で日本人として14年ぶり大会制覇。昨年9月のMGCで2位となり東京五輪代表に決定した。1つ年下の弟に弾馬(はずま、トーエネック)がいる。自己ベストは1万メートル28分9秒02、マラソン2時間7分27秒。1メートル73、63キロ。

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