【新体操】メダルを獲るには「まとめ上げる力」―田中琴乃の目

[ 2021年8月8日 19:34 ]

東京五輪第17日 新体操 ( 2021年8月8日    有明体操競技場 )

<団体総合予選>日本のボールの演技
Photo By 共同

 団体総合決勝で日本は合計72・500点で、2大会連続の8位に終わった。19年世界選手権2位の日本は初のメダル獲得を目指したが、前半のボールで演技が乱れ、後半のフープ・クラブでは手具が場外に出る大きなミスが相次いだ。12年ロンドン五輪の主将で、NHKの解説を務めた田中琴乃さん(29)が「フェアリージャパン」の戦いを分析した。

 「フェアリージャパン」は予選の失敗を引きずる感じではありませんでしたが、またミスが出てしまいました。悔しいですけど、選手たちが悪いわけではありません。攻めない演技ではなく、攻めた演技を堂々と見せてくれました。8位に終わりましたが、胸を張ってほしいと思います。

 ボールもフープ・クラブも、予選で失敗したところは改善していました。フープ・クラブは技と技が続いていく演技構成なので、ミスが一つ二つ出たことで演技が中断しました。それでも、最後まで粘って持ちこたえようとする、諦めない姿が見られたのは良かったです。

 19年の世界選手権で日本は銀メダルに輝きましたが、どの国も当時と同じ演技とは思えないくらい、精度を上げてきました。日本も上位のレベルの難しい演技で、負けるような構成ではありません。ただ、投げが乱れたことで大きな失敗になり、自分たちの良さを出し切ることはできませんでした。また、ケガをしている選手もいて、全員のコンディションはベストではありませんでした。それでも、日本の同時性の良さはしっかり世界に発信できたと思います。

 メダルに届く力は持っていましたが、メダルを獲るためには「まとめ上げる力」が必要です。ROCを上回り優勝したブルガリアは、どの国よりも確実に実施していました。無駄な移動がなく、高難度な技を正確に実施した結果、国旗が表彰台の一番高いところに上がったと思います。日本も本番に掛かる緊張感を練習から意識できるか、本番を練習だと思って演技できるかに尽きると思います。

 16年のリオ五輪と同じ順位ですが、世界との差は確実に縮まっています。日本の持っている力は、メダリストと変わりません。だからこそ、自分たちが取り組んできたことは間違っていないと自信を持ち、ここぞという時に力を出し切る“心の強さ”を養ってもらいたいです。(12年ロンドン五輪主将) 

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月8日のニュース