一山との同席会見で涙も…松田瑞生の勇気ある“決断” 日本マラソンチームの強さ見た 

[ 2020年3月13日 13:14 ]

会見で涙を見せる松田
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 東京五輪マラソン代表の記者会見が12日、福島・郡山市内のホテルで行われた。8日の名古屋ウィメンズマラソンで女子代表最後の1枠を勝ち取った一山麻緒(22=ワコール)がニューヒロインとして笑顔で出席。一方、数日前まで札幌行きの切符をつかんでいたが、一夜にして補欠選手に回った松田瑞生(24=ダイハツ)も会見に顔を見せた。

 会見が始まる前まで「松田は本当に出席するのか、出なくても良いのではないか」と個人的に思っていた。代表落選のショックから立ち直っているのだろうか。男子2選手のように「新型コロナウイルス感染防止」を理由に欠席しても良かったはずだ。それにも関わらず、松田は出席した。会見場ではくしくも一山の隣に着席。松田は記者の質問にも淡々と、そして丁寧に答えていった。

 何問目かの質問で、今後への目標を問われると、松田のこれまで押し殺していた感情があふれ出た。「正直なところ、まだ気持ちの整理は付いていない」。言い終わると目に涙を浮かべた。「再スタートを切れるくらい気持ちを戻して、体を整えてからチャレンジしたいと思う」と言葉を振り絞った。

 3人目の代表の座を逃した8日、松田はツイッターを更新していた。「自分の力のなさを痛感した」。家族とともに名古屋ウィメンズをテレビ観戦し「瑞生、納得してんのか?ここでやめるのはもったいないんちゃうんか?また挑戦しようや!おいしいもん食べよ!」と励まされたという。「また笑顔をお見せできるように頑張ります」とつづった。その2分後には「とは言っても、ちょっと時間がかかるのは正直な気持ち…かも?」と率直な心境を明かしていた。今回会見に出席したのはあらためて本人の口から今の気持ちを松田ファンに伝えたかったのかも知れない。

 表情は終始さえなかったが“浪速の腹筋女王”としてのコメント力はこの日も健在だった。同日は64年東京五輪で銅メダルを獲得した円谷幸吉氏の墓前を参拝。同氏を記念した円谷幸吉メモリアルホールも見学した。「メモリアルホールに行って、今では厚底が主流だが、実際に円谷さんが履いていたのは薄くて草履の様だった。あの靴で走ったんだと今では考えられなくて、すごいなぁという一言。大きな衝撃を受けた」と昨今の厚底ブームを皮肉まじりに話した。会場の笑いを誘うなど時折松田らしさも垣間見せたことで、少しほっとした。

 代表を逃した直後。ましてや代表争いで敗れた一山と同席する記者会見場に立つのは、真の勇気が要ることだと思う。松田の決断をことさらヒロイズム的に取り上げることではないかも知れないが、彼女の決断、行動に心から拍手を贈りたくなった。松田は言う。「内定はならなかったが、内定した選手に恥じぬように行動したい。内定選手と同じ気持ちで戦っていきたい」。こういう選手がリザーブにいることが、日本マラソンチームの強さにほかならない。(河西 崇)

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