有森裕子さんが占う名古屋ウィメンズマラソン 「しっかり食べられる」一山を本命視

[ 2020年3月8日 05:30 ]

一山麻緒
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 東京五輪男女マラソンのラスト1枠を争う最終決戦、びわ湖毎日マラソンと名古屋ウィメンズマラソンはともに8日、号砲が鳴る。女子の絶対条件は2時間21分47秒を上回り日本人最上位となること。スタートから積極的なレース展開が予想される中、五輪2大会連続メダリストの有森裕子さん(53)は一山麻緒(22=ワコール)を本命視。有力選手全員が自己ベストを更新するハイレベルな戦いを期待した。

 今の日本選手にとって、2時間21分47秒を上回るタイムで走ることは簡単ではありません。可能性があるとすればワコール勢の3人と岩出。中でも一番可能性が高いのは一山だと思います。

 一山の強みは、しっかり「食べられる」ことです。食べることはマラソン選手にとって一番重要です。私も現役時代は食べる方でしたし、高橋尚子さんも野口みずきさんもよく食べていました。しっかり食べれば故障をしない。故障しなければ練習ができる。練習ができればどんどん強くなる。全ては「食べる」ことから始まるのです。

 逆にトラック出身の福士はマラソンに転向した最初の頃、食べるのを怖がっていました。トラックは距離が短いのでマラソンほどのエネルギーは必要とせず、体重が軽いことの方が重要だったからです。今ではだいぶ食べられるようになったようですが、最初から「食べる」「故障しない」「練習ができる」の三拍子がそろった一山には勢いがあり、ハイペースが予想される今回のレースにも十分対応できると思います。

 福士はとにかく消極的にならないこと。練習は積めてきているので、積極的に30キロまで先頭集団で粘れればチャンスが生まれるかもしれません。安藤は課題のメンタル面をどうコントロールできるか。岩出も持ち前の集中力が空回りしなければ一山、福士にくらいつく力はあるはずです。

 新型コロナウイルスの影響も心配ですが、ここまできたらもう選手個々にできることは全力で走ることだけです。出場する全員が自己ベストを更新するような熱いレースになることを願っています。(92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダリスト)

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