土性沙羅 世界一!ダントツ小さい気弱少女が変身 女王魂継承

[ 2016年8月19日 05:30 ]

リオ五輪<女子レスリング69キロ決勝>優勝し、栄監督を肩車する土性

リオデジャネイロ五輪レスリング・フリースタイル女子69kg級

(8月17日 カリオカアリーナ)
 登坂、伊調と続いた大逆転劇の波に乗った。「よっしゃー!!」。1メートル59の体に響かせた気迫あふれる雄叫びが、土性の金メダル獲得の知らせだった。

 この日の相手は誰もが自分よりも大きい選手ばかり。決勝のロンドン五輪72キロ級金メダリストのナタリア・ボロベワ(ロシア)とは上背で15センチの差があった。体重でも土性はリミットに届かない67キロ前後。大柄な相手に組み止められ、なかなか踏み込めなかった。

 0―2で迎えた残り30秒、ついにチャンスをつかんだ。最初のタックルは不発。しかしバックに回ろうとする相手の腕の間を小さな体がくるっとくぐり抜けた。すかさず反撃の片足タックルを浴びせ、巨体をなぎ倒した。

 「しっかりタックルで逆転することができた。タックルを教えてくれた吉田先生に感謝したい」。吉田沙保里の亡き父・栄勝さんが開いた「一志ジュニア教室」に小3から通い始めた。当初はなかなか勝てない劣等生。しかも栄勝さんは「沙羅は叱っても大丈夫」と我慢強い性格を見抜き、土性を叱られ役としてひときわ厳しく接した。

 母・祐子さん(47)はレスリングを始めたばかりの頃、食事をしながら黙ってぽたぽた涙を流していた娘の姿を覚えている。それでもやめたいとは言わなかった。「行かないこと、やめると言うことすら怖い。毎日通う方がまだ穏便に済むという感じだったんじゃないか」と振り返る。

 とはいえ栄勝さんは闇雲に叱っていたのではない。土性の父・則之さん(48)が娘を怒鳴るとすぐにたしなめた。「俺が怒るからおまえは怒るな。沙羅の逃げ場がなくなってしまう」。土性もどこかでその気遣いを感じていたのだろう。「厳しいけど凄く優しい先生だった。レスリングのお父さんという感じ」と慕っていた。

 栄勝さんは14年3月にくも膜下出血で亡くなったが、土性はこの日の練習会場で「いつも通りやれば大丈夫だよ」、金メダルを決めると「よくやった」という栄勝さんの声が聞こえた気がしたという。

 「今まで金メダルがなかった重量級で一番初めに獲れたのがうれしい」。吉田印のタックルで我慢強く、愚直に攻めて体格差の壁を突き破った。過去3度の世界選手権では届かなかった頂点に4年に1度の五輪で到達。小さな体で大きな仕事をやってのけた。

 ▼土性のシニア世界大会成績 今五輪前まで優勝はなし。世界選手権では13年(ブダペスト)に67キロ級で銅、14年(タシケント)は69キロ級で銀、昨年(ラスベガス)は同級で銅メダルを獲得した。

 ◆土性 沙羅(どしょう・さら)

 ☆生まれとサイズ 1994年(平6)10月17日、三重県松阪市生まれの21歳。1メートル59、普段の体重は67キロ前後。

 ☆レスリング歴 父親の影響で小3から始める。鎌田中―至学館高―至学館大在学中。全日本選手権は11年から5連覇。

 ☆世界選手権 初出場の13年に3位、14年に2位、15年に3位と全て表彰台に上った。

 ☆趣味 絵をかくこと。少女マンガのようなものやイラストの描き写しを好む。

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