大逆転引き出した高橋の気持ちの強さ 松友のスピードと正確さも見事

[ 2016年8月19日 03:58 ]

優勝を決め、抱き合って喜ぶ高橋&松友ペア
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 【広瀬栄理子の目】最後の逆転の場面は、まず高橋選手のサーブが見事だったと思います。16―19となり、デンマークペアは「あと1点でマッチポイント」と意識したと思います。その前から、相手の表情には勝利への意識が表れていました。高橋選手は、それをよく見ていました。

 ただ、あの場面でネット上ギリギリを通すショートサーブを入れるのは、すごく重圧がある。それをミスせず、落ち着いて入れられたのは、逆に相手の重圧にもなったはずです。相手ペアは、混合ダブルスの経験が豊富で、サーブ回りの技術が高い。そのペアが、レシーブをミスしないように大事に返すようになっていました。

 あの場面で積極性を出せた高橋選手の気持ちの強さが、大逆転を引き出したと思いますが、松友選手も見事でした。試合を通して前衛に入るスピードとショットの正確さが素晴らしかった。最後の場面も相手をよく見て、チャンスボールをしっかり決めた。高橋選手も心強かったはずです。2人が今まで頑張ってきたことが、最後の最後に出せたのだと思います。

 試合全体としては、風が影響したと思います。いつもより風が強くて、風上のコートはショットがアウトになりやすく、コントロールが難しかった。デンマークペアは、それを気にしてプッシュやスマッシュをネットに引っ掛ける場面が多かった。最終ゲームの前半、風上で不利だった高橋・松友ペアが11―10でしのいでインターバルに入り、風下の後半を戦えたのも、勝因の一つでしょう。

 この金メダルは、多くの先輩が積み上げてきた日本バドミントン界の歴史の結晶です。わたしもまさか、こんな時がくるなんてという思いです。今の日本には、強い選手がたくさんいる。「次は自分が」と思った選手がこれから、どんどん出てくるでしょう。東京五輪への希望があふれる金メダルになりました。(2008年北京五輪女子シングルス代表)

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2016年8月19日のニュース