思い出の湘南 惜別のマアジ 天国の永井さんが釣らせてくれた

[ 2021年7月17日 07:22 ]

ものすごい手返しで3匹掛けは“マシーン”中川さん                               
Photo By スポニチ

 【釣り日和】梅雨の晴れ間、平塚・庄三郎丸のライトタックルウイリー五目船に乗った。100メートルの“深場”から上がってくるマアジは良型。やさしい海風に吹かれて思い出すのはあの人の顔だ。(笠原 然朗)

 彼が何千回か竿を出したであろう湘南の海。お別れを言いに船に乗った。6月8日、本紙APCの永井裕策さんが逝った。

 生前、何度も釣り取材に付き合ってもらった。「仕掛けを袋から出してから、爪先でハリスのよれを取って」…そんな言葉を思い出しながら仕掛けを投入したのは大磯沖の水深60メートル。「反応は5メートルから10メートルに出ているよ」と庄三郎丸・新盛厚船長がマイクで呼びかける。

 底上4メートルでコマセを振り5メートルで待つと当たり。竿をひん曲げて上がってきたのは35センチ超のサバ。本命はマアジだが、これも貴重なお土産だ。

 隣席では庄三郎丸スタッフの中川清之さん(52=平塚市)が2、3匹掛けでマシンのようにアジを釣っている。「1匹掛かったら少し巻いて、掛かった1匹を犠牲にするつもりでコマセを振り追い食いを狙いました」。電動リール音が止まらない。

 もたついてばかりいる不器用な私を見て永井さんはいつも「何してるのよー」とうれしそうだったっけ。

 水深100メートルのポイントに移動。コツンと小さな当たり。アジとは明らかに違う引きはアマダイ。永井さんが釣らせてくれたように思った。「マダイの横綱」と呼ばれた名人は、釣らせ上手でもあった。

 厚木市の竹内真人さん(47=会社経営)は「手返しを重視しました」とサビキで。釣れたアジを餌にして泳がせでヒラメなどを狙ったが「サメしか釣れませんでした」。

 永井さんと最後に会ったのは昨年1月27日だった。入院先の病院にお見舞いを届けた。

 痩せて小さくなっていた。「釣りに連れて行ってよ~」の声に力はない。健康も生活もいろいろと大変だったのだろう。思えば一流の見栄っ張りだった。

 人は二度死ぬという。一度は生物としての死。二度目は人から忘れられたときに。私は永井さんのことは忘れない。

 ◯…釣り時々、昼寝でのんびりと釣っていたのは左舷トモの有留俊さん(36)。厚木市内で居酒屋「馬肉食堂 BAKAYARO」を経営。コロナ禍で一時、店の売上げが減ったが「弁当と仕出しで売り上げを元に戻しました」。釣れたアジも880円のアジフライ弁当や刺し身にして懐石仕出し弁当で提供するとか。釣りは趣味と実益を兼ねた楽しみだ。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、平塚・庄三郎丸=(電)0463(21)1012。出船は午前6時半。乗合料金1万500円。女性、大学生、高校生7500、中学生7000円に割り引き、小学生6500円。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る