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フライ専門のプライド 24センチのイワナ

[ 2018年6月9日 07:14 ]

フライで渓流に挑んだ筆者
Photo By スポニチ

 【現役東大生釣りまくる!】就活の合間に息抜きだ。東大法学部4年・中村太郎が訪れたのは長野県内の、とある渓流。後輩を連れて得意のフライフィッシングに臨んだ。

 3月に始まった就職活動も、いよいよ終わりが近づき、猛烈にオフィス街を駆け回っています。私が面接で大事にしているのは、自分の専門分野について熱意をもって語ることです。東大生たるもの、学問に真面目に取り組んできたことをアピールしたいものです。

 大学ではアメリカ政治経済を専門とし、論文も執筆しました。アメリカ政治経済の魅力についてしっかりと語れるよう勉強する毎日を送っています。

 一方、私の釣りの専門分野はフライフィッシングです。10歳の時に父親に連れられて初めて訪れた渓流。そこで出合った美しいイワナ。以来、毎年欠かさずフライフィッシング釣行を重ねてきました。

 教養学部2年生の石井太河君と、農学部3年の正木僚君とともに長野県の渓流にイワナを狙いに行きました。

 2人とも東大釣友会の後輩です。私と石井君はフライで、正木君はルアーで狙います。

 日の出とともに釣行開始。朝は気温・水温ともに低く、羽虫も飛んでいないため全く反応を得られません。そんななか、スプーンを投げていた正木君が初イワナをゲット。さすがは元部長。初めてのフィールドでもしっかり結果を出します。

 幸先いいスタートになったと思われましたが、その後はなかなか反応を得られません。別の河川で正木君が1匹追加したものの、相変わらずフライには反応なし。平時より水量が多く、魚の付き場が限られてしまっているのと、水温低下・羽虫の少なさによる魚の活性の低下が相まって、かなり厳しい状況です。

 魚の活性が上がりやすい午後にとっておきのポイントに入り、そこで粘ることに。ポイントをじっくり観察すると、ついにライズするイワナを見つけました。ところがこのイワナ、どんなに完璧にフライを流しても決して食ってこない。イワナのケンカを買った私は、意地でも釣ってやると気合を入れ、ひたすらフライを交換し、丁寧に流し続けました。そして4つ目のフライでついにバシャッ!と出た。釣り上げたイワナはたくましい顔立ちをした24センチの良型イワナ。こんなにうれしい一匹は初めてです。

 その近辺で他にもライズしている個体がいたため、石井君に場所を交代し、つきっきりで指導をすることに。立ち位置と魚の距離が離れている上、流れが速く、障害物も多いポイントなので、フライフィッシング初心者の石井君はかなり苦労しているようでした。それでも一つずつ課題をクリアし、ついに完璧なコースにフライを届けることに成功。するとフライの下から魚体が躍り出し、食った!しかし、フライフィッシング特有のラインをたぐるファイトがうまくいかず、フックオフ…。しばらく2人ともあぜんとし、言葉も出ませんでした。

 今回、石井君はかなり魚との距離を縮めることができましたが、まだ初渓魚を手にすることはできていません。勉強と同じで、一つ一つ課題をクリアしていけばいつかイワナを釣り上げることができます。石井君の初渓魚のアシストをするのが当面の私の目標となりました。

 ◇中村 太郎(なかむら・たろう)1996年(平8)生まれ、東京都出身。東京大学法学部4年。10歳から渓流フライフィッシングを始める。現在は東大釣友会に所属し、磯からのヒラスズキや青物、サーフでのヒラメ釣りなどを楽しんでいる。

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