G1周年記念競走展望

【大村G1海の王者決定戦】王者松井、主役譲らん

[ 2014年4月8日 05:30 ]

大村相性抜群!V筆頭の松井繁
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 ボートレース大村のG1「開設62周年記念・海の王者決定戦」は明日9日、豪華メンバーによって熱戦の火ぶたを切る。今回はG1史上初の試みである3日間続けてのトリプルドリームだ。主役は初日が王者松井、2日目は田村、3日目は瓜生。それぞれ1号艇の顔ぶれだ。松井は今年SG第一弾のクラシック(総理杯)で流れを呼び込みSG通算12V。王者の強さを存分にアピールした。大村の相性もいい。当然、V筆頭だ。その王者に誰が待ったをかけるのか。迎え撃つ地元勢は6人。そのなかで頭角を現したのがオールスター出場が決まっている下條雄太郎。記念初優出へ存分に暴れてもらおう。

 G1でこれだけの顔ぶれがそろうのは珍しい。超豪華版の62周年だ。そして注目を集めるのがG1では初の試みとなる「トリプルドリーム戦」。初日の賞金王ドリームは歴代賞金王覇者による一戦。1号艇にドッカと座る松井は大村との相性も抜群。43周年の覇者でもあるし、MB大賞も2回制している。SGのトップレーサーが顔を出すようになった第10回競艇祭(現誕生祭)。松井自身もそのときのことは忘れていないだろう。整備をしつくし、立て直して準優を勝ち上がったときは納得した仕上がりだった。そして大一番も確実に決めたのだ。先の尼崎クラシック(総理大臣杯)は6年ぶり2回目のSG初戦V。集中力を高めればまさに敵なし。リズムからいってもV筆頭だ。

 大村との相性の良さで松井を上回るのは永遠のライバル、服部。53、57周年で優勝。第13回競艇祭では8連勝完全Vを成し遂げている。ただ、今期はA1勝率のピンチ。62周年を終えてF休みに入るため今期最終戦となる。だが裏を返せば相性抜群の大村なのが幸い。背水の陣、服部が一走入魂だ。

 辻は大村で1回優勝があるがそれは一般戦。同じ1回でも59周年の覇者は太田だ。絶妙なハンドルさばきは健在。近況の勢いなら井口だろう。吉川も今年は住之江でG1勝ち。6枠でも侮れない存在となる。

 2日目の発祥地ドリームは1枠の田村が人気に応えるか。大村は3年前のチャレンジカップで美酒を味わった感慨深いプール。今垣も当地は好走。52、58周年の覇者である。坪井は第11回の競艇祭を制しているし相性はいい方。地元で1人、ドリームにノミネートされたのが赤坂。エンジンが出ているときはSがキレる。カド一撃は十分に秘めている。湯川は3年前の当地グラチャン覇者。浜野谷は昨年12月のMB大賞準Vで存在感を見せつけた。

 3日目のカステラドリームは1号艇に座る瓜生を信頼。九州地区、大村の実績も申し分ない。51周年を制しているし、走ればほぼ優出。前回は準優勝に甘んじたが、今回は72レース後の表彰台で笑顔を見せてくれるか。Sのキレは菊地。大村に関しては苦手意識があったが、56周年、57周年で優出。そしてグラチャンでも優出。苦手意識を払しょくした。今年の目標はグランプリ(賞金王決定戦)出場。1走1走に集中だ。

 SG戴冠にもっとも近いと言われチャンスを幾度も逃してきた白井だが、今年のクラシックも予選トップ通過を生かせなかった。それでも安定感は評価できる。大村は60周年の覇者。今年の勢いは今節1、2を争う。楽しみだ。昨年花開いたのが新田。福岡オールスター(笹川賞)でビッグウイナーの仲間入り。大村は誕生祭で序盤の荒れる水面を乗りこなし初優出初V。新田にはいいイメージしか残っていないだろう。

 ドリームには顔を出していないが、勢いで負けていないのが前回覇者の鎌田。61周年優勝戦。G1優勝がない鎌田にとって1号艇はプレッシャーだった。相手は百戦錬磨の池田、瓜生。先に回った鎌田に差して肉薄は池田。それを何とか抑え込み2M先マイで決着をつけ初戴冠。先の尼崎クラシックでも魅せた。準優で前付けに出て得点率トップのインの白井がつぶされた。鎌田は息を吹き返し、道中競り勝ち優出。そして大一番も2Mで突っ込み2着をもぎとり師と仰ぐ松井とワンツーフィニッシュ。鎌田にとっては生涯忘れぬことのできぬ一戦となった。今回も魅せてくれることだろう。 

◇新田、恩師・井口と優出狙うぞ!

 心強い先輩がいる。それだけに無様な姿も見せたくない。師と駆ける大村プールに胸を踊らせているのが新田だ。師とは井口。田村が85期の卒業チャンピオンならこの新田は96期のチャンプである。12年に師の井口は笹川賞(現オールスター)を射止めた。続けとばかりに昨年福岡で行われた笹川賞。新田は優出し5枠だった。3コースに入り鋭い仕掛けから鋭いハンドルで突き抜け見事SG初優勝をやってのけた。「先輩(井口)に恩返しが出来たと思います」と感涙にむせた新星。続編があった。その年の大村MB誕生祭りでは2日目からオール2連対で優勝。井口は今回初日の賞金王ドリームに出場。新田は3日目のカステラドリームに登場する。師弟と言う範疇(はんちゅう)を越えて三重の両輪となるべくこの2人。優勝戦で顔を合わせたいとどちらもが思っている。

◇田村、「銀河の一番星」意地見せる

 SGウィナーを多く輩出している85期生。旺盛なライバル意識も手伝って一流選手の宝庫となっている。銀河系とも称されるその期の中にあって一早くSG覇者として名乗り出たのが田村だった。04年の若松。ナイターで行われたオーシャンカップでのSG初戴冠は85期卒業チャンプとしてのプライドも感じさせた。

 昨年は賞金王決定戦の優勝戦まで歩を進めた。野望は池田浩二に破られたものの、また新たな目標も出来た。今年はからつ周年Vで幸先よく飛び出している。11年には当地で行われたチャレンジカップで3つ目のSGを射止めている。84期生からが登録番号4000番となるわけだがその4000番台でG1、SGともに一番乗りだった田村。強豪目白押しのシリーズとシリーズだからこそなお一層、闘志の炎は燃え上がる。

◇下條、競合迎撃

 強豪を迎え撃つ地元勢は6人。そのなかでネームバリューがあるのは石橋と赤坂だが、めきめきと頭角を現してきたのが下條で、今や石橋、赤坂に肩を並べるにまで成長した。前期勝率は過去最高の7・52を叩き出し、長崎支部No.1の座についた。

 地元プールに懸ける意気込みは人一倍強い。それがゆえにフライングも多発。ここまでに切ったFは17本。その内、大村は10本を数える。「地元は気合が入りますね。捲られたくないんですよ」。捲らせない、捲ってやるの気持ちが先に動いてのF過多なのだ。Fを切りすぎたら伸び悩み、そこで成長が止まってしまう選手も多い。それを乗り越えて今がある。

 A1になっても記念のあっせんがなかなか入らず、新鋭リーグ回りが多かった。G1を走ったとしても新鋭王座や地区選手権だけだったが、昨年からようやく記念戦線へ。走り初めの6月芦屋周年では準優進出。惜しくも3着に終わりはしたが、自信にはなった。

 9月の徳山周年でも準優3着。失敗したのが10月の蒲郡周年準優だ。バックは2番手。初優出かと思われた矢先の2Mで失敗。6着に終わったのだ。だが、それも経験。「記念を走り出してSGの出場が明確になってきました」。5月の福岡オールスター(笹川賞)にSG初出場が決まった。長崎からはただ一人。今年はさらなる飛躍の年だ。

 その前にひと仕事やり遂げなければいけない。地元周年は今回が初めて。オーシャンカップ出場のポイントもかかっている。優出が絶対条件なのだ。ボートレースは左利きが有利とも聞く。微妙なレバー操作ができるからだ。下條は左利き。絶妙なレバー操作で記念初優出を目指す。

◇“エース49号機”に迫る18号機

 2月15日の初下ろしから6節を消化。少ないもので3節使用、多いもので5節使用された。出走回数が少ないため2連対率にはかなりの差があるが、乗り手もありまだ未知数である。トップレーサーが集う今回で相場が固まることだろう。

 初下ろしからいい足色をしているのが49号機。前節の中岡健人が出足、伸びに加え中盤から乗り心地もプラス。エースの最有力候補だ。69号機は伸び型だがペラが合えば回り足もいい。36、69号機は実戦向き。初下ろしで登みつよが出足から伸びにもつながっていたのが18号機。「エース機になりますよ」と言っていたほどパワーが伝わってきた。その後3節は乗り手に恵まれず勝率は乏しいが感触は良かった。前節の芝田浩治はもうひとつパワーを引き出せなかったが行き足には手応えありだった。

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