「水戸黄門 第1部」再放送 デジタルリマスター版の魅力

[ 2023年5月18日 08:20 ]

「水戸黄門 第1部」の一場面(C)C.A.L
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【牧 元一の孤人焦点】1969年に制作された時代劇「水戸黄門 第1部」(全32回)のデジタルリマスター版が現在、BS─TBSで月~金曜の午後6時30分から再放送されている。

 BSで「第1部」が再放送されるのは初めて。水戸光圀は東野英治郎さん、佐々木助三郎は杉良太郎、渥美格之進は横内正。風車の弥七(中谷一郎さん)は登場するが、うっかり八兵衛(高橋元太郎)、かげろうお銀(由美かおる)は出てこない。

 オープニングの主題曲に、♪人生楽ありゃ苦もあるさ…の歌がなかったり、クライマックスで印籠が出てこなかったりするのが新鮮だ。何より、デジタルリマスター化された映像がきれいで見やすく、なぜか温かみもある。

 この時代劇シリーズを制作した「C.A.L」の担当者に話を聞いた。

 ──「第1部」の映像をどのような形で保存していたのですか?
 「24時間空調完備された倉庫で、原版というべき16ミリ・ネガフィルムを保管しています」

 ──なぜデジタルリマスター化に至ったのですか?
 「初期の作品を見て『暗いな』『画質が荒いな』という印象を持たれていた視聴者の方は多くいらっしゃったかと思います。また、テレビ自体の性能が上がり、番組の収録メディアも変わってきたことで、過去の番組と現在のCMの画の明るさや質感の違いから、違和感や見づらさを感じられたという方もいらっしゃいました。そのようなお声をいただく機会が多くなる中、2019年に水戸黄門放送開始50年という節目を迎えたのを機に、55周年(2024年)に向けた取り組みとして、デジタルリマスター化を実施する判断をいたしました」

 ──どのくらいの時間をかけ、どのような手法で行いましたか?
 「3年ほどの時間をかけ、原版のフィルムのスキャン後、キズや汚れた部分などを修復し、全体的に違和感のないように修正してデジタル素材に変換しました」

 ──苦労した点はどこですか?
 「最も配慮したのは、どこまでのクオリティーを求めるかでした。4K映像にするならば『美しさ』が最優先となるかもしれませんが、今回のデジタルリマスターでは、視聴者のみなさまに見ていただくに当たり、違和感のない美しさ=見やすさを重視しました。初回放送が50年以上前の作品なので、その質感を完全になくしていいものか?最高のクオリティーでクリアな映像にすべきなのか?ということを検討した上で『きれいにしすぎないが、きれいと感じていただける』『見ていて違和感がない』という状態を目標としました」

 ──再放送は4月20日に始まりましたが、手応えはいかがですか?
 「実際に放送をリアルタイムで見ましたが、きれいでした。みなさまからも、おおむね良い評価をいただけたようで、正直ホッとしております」

 映像の良さだけではなく、内容も興味深い。古い作品だけに役者の顔ぶれが今とは全く違う。例えば、5月15日放送の第16回は加藤剛さんがゲスト出演。加藤さんは翌70年から「大岡越前」に主演することになるが、物語に関係なく無心に映像を見ていると、まるで水戸光圀と大岡忠相の豪華競演のようだった。これから、戦後の時代劇スターの大友柳太朗さんやドラマ「西部警察」などで知られる渡哲也さんらもゲスト出演するはずで、楽しみは続く。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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