歴史的142手 里見女流5段、女性初タイトル戦本戦「力出し切れた」収穫“一敗”

[ 2022年8月16日 05:30 ]

阿久津八段に敗れた里見女流5段(日本将棋連盟提供)
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 里見香奈女流5冠(30)が15日、大阪・関西将棋会館で第48期棋王戦挑戦者決定トーナメント2回戦に臨み、阿久津主税八段(40)に142手で敗れた。タイトル戦の本戦に女性で初進出。名人挑戦権を10人で争うA級に2度入った強豪にはね返されたが、予選では棋士5人を連破。18日から始まる棋士編入試験へ弾みになった戦いだった。

 「良くなった局面もあったが、実力不足。力は出し切れました」

 先に秒読みに突入したのは阿久津。終盤の入り口から陣形の再整備に手を戻し合う場面もあった。踏み込むか否か。一局の重みに惑う、両者の胸中を示すようだった。

 公式戦は初対戦だが一度、練習将棋で教わったことがあった。「コテンパンでした」。この日も中盤は駒損に歩切れ。それでも容易に土俵を割らず、阿久津は「しっかり丁寧に指されて、何度も負けたと思った」。元A級棋士の回想が成長を物語った。

 予選から浦野真彦八段(58)、澤田真吾七段(30)、池永天志五段(29)、冨田誠也四段(26)、古森悠太五段(26)を連破。真夏の疾走はひとまず停止した。

 18日からは棋士編入試験に臨む。里見は5月、棋士との公式戦が直近10勝4敗に。受験資格「公式戦で10勝以上かつ勝率6割5分以上」を女性で初めて満たした。今後、若手棋士と最大5局指し、3勝すれば合格となる。

 奨励会を年齢制限のため三段で退会。一度は断念した四段への道を、再び歩み出すに値する実力は示した。

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2022年8月16日のニュース