キスマイ玉森主演「グラグラメゾン東京」配信“歴代1位”脚本オークラ氏のセリフの妙 本編と並行の裏側

[ 2019年12月1日 09:00 ]

構成作家オークラ氏×東仲恵吾プロデューサー対談

日曜劇場「グランメゾン東京」のスピンオフドラマ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」の脚本を手掛けるオークラ氏(左)と東仲恵吾プロデューサー(C)TBS
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 TBS日曜劇場「グランメゾン東京」(日曜後9・00)のスピンオフドラマ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」(日曜深夜0・00)が好調。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」の国内ドラマ・オリジナルコンテンツのうち、配信スタート1カ月間の再生人数が歴代1位を記録した。脚本を手掛けるのは、お笑いコンビ「バナナマン」の“盟友”としても知られ、テレビ東京「ゴッドタン」などのバラエティー番組の構成作家を務めるオークラ氏(45)。TBSの東仲恵吾プロデューサー(35)と対談。本編と並行して制作し、若者を中心に話題を集めるラブコメディーの舞台裏を明かした。

 スピンオフは、俳優の木村拓哉(47)が主演を務める本編の主要キャラクター・平古祥平(Kis―My―Ft2玉森裕太)が主人公。祥平は、天才シェフ・尾花夏樹(木村)のパリ時代の元弟子。第5話(11月17日)、紆余曲折の末、一流ホテルの最年少料理長をやめ、尾花のライバル・丹後学(尾上菊之助)がシェフを務めるレストラン「gaku」に移った。

 スピンオフは、同じホテルのコンシェルジュで婚約者の蛯名美優(朝倉あき)と、ホテルのブッフェの元同僚で尾花がスーシェフを務めるレストラン「グランメゾン東京」に移ったパティシエ・松井萌絵(吉谷彩子)の2人に祥平が翻弄され、グラグラと揺れる男心を描くラブコメディー。仕事の悩みなど、29歳の等身大の姿も。本編で描き切れない“裏設定”を掘り下げ、「Paravi」の国内ドラマのうち、10月1日~11月28日の再生回数は堂々の1位。毎週日曜、本編のオンエア後、深夜0時に配信されている。

 ――「グランメゾン東京」のスピンオフを制作しようとした時、いろいろな切り口があると思います。祥平を主人公にした理由と、オークラさんに脚本をお願いした理由を教えてください。

 【東仲】本編は、挫折した男がもう一度夢に向かう“大人の青春ストーリー”。スピンオフは、若者向けの内容で作れないかと考えていて、本編のキャストに玉森さんが決まっていたので、祥平を主人公にすることにしました。オークラさんは、もともとスピンオフを企画した社内の人間の推薦。僕もオークラさんが構成作家として参加されているバラエティー番組のファンだったので、書いていただけるなら願ってもないと。

 【オークラ】今年の春ぐらいにTBSの人とお茶会でご一緒する機会があって「コメディーを書かせてください」とお願いしたんです。その時は冗談みたいな話で終わったんですが、後日、今回の話が決まって。本当に単なる雑談みたいな話だったので、ビックリしました。しかも、木村拓哉さんが主演する日曜劇場のスピンオフ。TBSの人はちゃんと僕のことを分かってオファーをしているのかな?と疑問に思いましたね(笑)。

 ――スピンオフは本編と並行として執筆、撮影。本編が前提となる“制約”もあると思いますが、ご苦労されている点はどこですか?

 【オークラ】最初は凄くプレッシャーがありましたが、本編の台本を読んで「実は裏で、こんなことがあったんじゃないか」と勝手にイメージしながら書いていくと、だんだん楽しくなってきました。本編に縛られることはそれほどなく、結構自由にやらせていただいています。平古祥平というキャラクターは本編だと凄くクールで、あまり何を考えているのか分からない。だから、スピンオフでは逆に、祥平が考えていることを表に出したら、おもしろいんじゃないかと思ってモノローグ(独白)を多くしました。今回は一緒に仕事するのが初めての人ばかり。自分がおもしろいと思われたので(笑)、台本は書いては消して、書いては消してを繰り返しています。

 ――東仲さんから見た“オークラ脚本”の魅力は何ですか?

 【東仲】毎回「今週は何をしましょうか」と打ち合わせをして、ある程度、内容が固まると、1発目に出来上がってくる台本の構成で、ほぼ完成しているんです。ドラマの台本は普通、初稿から決定稿まで数を重ねるんですが、9話は少し直すだけで2稿で終わりました。構成力は凄いと思います。そして、単純にセリフがうまい。

 【オークラ】今年一番、気持ちいいかもしれない(笑)。実は2年ぐらい前から、自分の舞台などで「心に残るセリフを書こう」と意識的に取り組んでいるんです。それまでは、ただ単に笑わせたくて書いていました。なので、今回のスピンオフも1話に1つは心に残るセリフがあるようにしたいと思って書いています。褒めてくれるから、調子に乗っています(笑)。

 【東仲】今回のオークラさんの台本は、特殊な言葉じゃなく、普通の言葉が刺さる瞬間があります。それは簡単なことじゃありません。最初はもっとコメディー色の強いものを考えていましたが、5話なんかは相当泣けますよね(美優「私、信じることにした。祥平君がケジメをつけるまで、って言うなら、待つ」、祥平は尾花から「平古祥平の料理には人を動かす力がある。フレンチ辞めんじゃねぇぞ」と言われたことを明かす)。

 【オークラ】僕も最初はコメディーのつもりで書いていましたが、2話あたりから「素敵なラブストーリーになっている」と気付いて、ラブの方も楽しくなってきて。僕の作る笑いをよしとしないような若い女性から「あれ(グラグラメゾン東京)、おもしろいですね」と言われたり。ああ、こういうことかと(笑)。今までの自分には完全になかった新境地だと思います。

 【東仲】例えば、1話の祥平のセリフ。ホテル側からブッフェに複雑な味は必要ないと言われ「自分の料理が必要とされないと分かったオレは、主張もせず、ただ淡々と決められた料理を作る毎日を送った。仕事とはそんなもんだ、と受け入れながらも、オレの心は満たされなかった」。この仕事に対する悩みは、社会人の皆さんに当てはまることだと思いますし、僕自身にもはね返ってくるところがありました。そして、3話は本編で全く描かれていない祥平と美優の出会いのシーン。美優は、厨房に1人残って料理をする祥平をいつものぞき見していますが、「この店で新作メニューは必要とされていない。ただ決められたものを作るだけだから、何となく作っているだけで」と言う祥平の料理を食べ「こんなおいしいものを、ただ何となく作っているなんて、もったいないですよね。だったら、私のために作ってください」。非常にフラットなセリフなんですが、もの凄くキラキラ輝いている。こんなこと、(自分とオークラ氏の)おじさん2人でやり取りすることじゃないんですが(笑)。

 【オークラ】おじさん2人でラブストーリー、笑っちゃいますよね(笑)。

 【東仲】美優が失くしたイヤリングを祥平が拾っていた3話のキーアイテム、イヤリングも、オークラさんが僕との雑談から生み出してくださいました。本編の撮影中、実際に朝倉さんが風でイヤリングを落として、一度みんなで探したことがあったという話をしたら「おもしろいですね」と、そのエピソードをスピンオフに盛り込んでいただいて。これも、オークラさんの着眼点と構成力ですよね。それに、本編だとクールな祥平が両極端の性格の美優と萌絵の間で揺れる、ちょっと不器用で愛すべきところが見事に表現されています。生きたキャラクターになっていて、視聴者の皆さんも思い当たる節があるんじゃないでしょうか。オークラさんの実体験かどうかは分からないですが(笑)。

 【オークラ】祥平は萌絵に対して何のやましいこともないんですが、萌絵と飲みに行ったことや一緒に料理を研究したことは、美優に対して隠してしまいます。皆さんもそうだと思うんですが、男性同士で飲んでいるところに女性がいた場合、やましいことが何もなくても、家に帰って報告する時、ふと、その女性がいなかったように話をしてしまうことがありますよね?男性は「その人、誰?」とトラブルになるのが嫌だからなんですが、彼女や奥さんは正直に言ってほしいんですよね。

 【東仲】この辺の“あるある感”が、特に若い人の共感を呼んでいるんだと思います。

 ――細かいことですが、毎話、分数が違っていて、5話の20分が最長です。

 【東仲】何となく15分ぐらいを目安にしていますが、決まりはありません。一番ベストな状態で撮影して編集していっているので、その辺はあまり気にせず、分数も変わってきています。

 【オークラ】僕も何分になるか、知らないですから。5話は「きょうは20分ある」と、ちょっとうれしかったですね(笑)。

 ――オークラさんから見た玉森さん、朝倉さん、吉谷さんの魅力を教えてください。

 【オークラ】玉森さんはめちゃめちゃイケメンなのに、心の奥底にあるコンプレックスを表現させたら、本当に素晴らしいですね。実際にあるかは分からないですが。朝倉さんは美人で、最初はとっつきにくいかと思ったんですが、今は美優と完全に同一人物。完全に好きになっています(笑)。吉谷さんは「ビズリーチ」のCMのイメージがありましたが、これほどのコメディエンヌとは。自分のコメディーの舞台に出演していただきたいと思いました。

 ――本編&スピンオフとも、12月1日が第7話。後半の展望を教えてください。

 【オークラ】この作品は居酒屋のシーンが多いんですが、若い男女の悩みや失敗、その会話がどんどん生々しくなっていきます。最近は意識的に若い人と飲んだりもするんですが、草食男子と言われがちなのとは違って、みんな生々しいんですよね。

 【東仲】第6話で萌絵が祥平にキスをし、これから祥平、美優、萌絵の三角関係がますます発展していきます。そして、本編のキャストも続々と登場します。カメオ出演という形じゃなく、スピンオフの物語のカギを握っているという展開なので、楽しみにしていただければと思います。スピンオフは悪い言い方をすると、本編の“付属品”になってしまうと、作品として死んでしまいます。今回はオークラさんも役者さんも、もちろん僕も妥協がなく、モチベーションが高い。本編と並行しているので、限られた時間の中で台本も撮影も大変なんですが、ベストなパフォーマンスができていると自負しています。

 ◆オークラ 群馬県出身。構成作家としてテレビ東京「ゴッドタン」、フジテレビ「関ジャニ∞クロニクル」などのバラエティー番組に参加。「バナナマン」「東京03」「おぎやはぎ」など、多くの芸人の単独ライブにも作家として携わっている。テレビ東京「ウレロ☆シリーズ」「潜入捜査アイドル・刑事ダンス」、日本テレビ「漫画みたいにいかない。」などドラマの脚本も担当。俳優・山崎樹範(45)出演の舞台「~崩壊シリーズ~」の作・演出も務め、シリーズ第3弾が今年10~11月に全国7都市で上演された。

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