大竹しのぶ“世界のニナガワ”に呼びかけ「魂の叫びは永遠に」

[ 2016年5月16日 13:12 ]

蜷川幸雄氏の告別式に参列した大竹しのぶ

 多臓器不全のため12日に死去した演出家の蜷川幸雄(にながわ・ゆきお)さん(享年80)の葬儀・告別式が16日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれた。弔辞は蜷川さんと縁の深い5人の俳優、平幹二朗(82)、大竹しのぶ(58)、吉田鋼太郎(57)、藤原竜也(34)、小栗旬(33)がリレー形式で担当。蜷川“門下生”の一人、大竹は「出会えた喜びと感謝の言葉しか浮かびません」と思い出を振り返りながら、しのんだ。

 「パンドラの鐘」や「マクベス」「欲望という名の電車」などに出演し、演技を磨き上げてきた大竹。「稽古場に響き渡る怒鳴り声、他では決して味わえることができない心地よい緊張感。いい芝居を見せた時に見せてくださるあの笑顔、これからの演劇人生の中で色あせることなく輝き続ける事でしょう」と感謝の言葉を口にした。

 「苦しい呼吸の中必死に生きようときようとし、まだやれる、また作りたい芝居があるんだ。そんな声が聞こえてくるようでした」と、9日に蜷川さんを見舞った際の出来事を回顧。大竹が大きな声で「稽古場でお待ちしています」と呼びかけると蜷川さんは目を開け、2人は数秒間見つめ合ったという。「そうなのです。蜷川幸雄は、稽古場にいなくては、劇場にいなくては、蜷川幸雄は蜷川幸雄ではないのです」と悼んだ。

 日本にとどまらず、世界でも観客を魅了し続けた蜷川さん。数々の思い出を胸に大竹は「あなたの魂の叫びは世界中の劇場に、それを観た観客の心の中に、そして私達の中に永遠に残る。それを胸に私たちは芝居を続けるしかない」と決意。最後は「だから、稽古場でお待ちしております」と天国の恩師に呼び掛けていた。

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2016年5月16日のニュース