名門・仙台育英に現れた“ロッテ・朗希2世”元NPB審判員記者が抜群の直球とフォーク体感

[ 2024年6月25日 05:30 ]

本紙・柳内記者の突撃を受ける仙台育英・山口(撮影・西尾 大助)
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 11年から6年間、NPB審判員を務めた柳内遼平記者(33)が、フル装備で選手の成長や魅力をジャッジする「突撃!スポニチアンパイア」。第14回は仙台育英(宮城)の最速151キロ右腕・山口廉王(れお)投手(3年)。22年夏は東北勢初の甲子園優勝、昨夏甲子園準優勝の名門に現れた、ロッテ・佐々木朗希2世の実力をジャッジした。また、この日行われた宮城大会の組み合わせ抽選で、初戦は7月13日の2回戦、松島―白石の勝者との対戦が決まった。

 越中島のスポニチ本社で次の「突撃!」取材はどこに行こう…と悩んでいた時、仙台育英に「佐々木朗希2世がいる」という情報が飛び込んできた。22年夏に東北勢初の甲子園大会優勝に導いた名将・須江航監督が「高校生を代表するようなところに(評価が)上がる」と予言したという。名は山口廉王。まだまだ知名度は高くない。逸材を紹介する当企画にピッタリだった。

 東北新幹線に乗り、1時間30分で杜の都仙台へ。学園旗のモチーフからライオン軍団と称されるナインの中に、ドジャース・大谷翔平と同じ身長1メートル93の右腕・山口がいた。名のレオは手塚治虫の漫画「ジャングル大帝」の主人公ライオンが由来だ。
 ブルペンに入ると、まず投げ方に驚く。左足は胸よりも高く上げ、爪先は天を向く。沢村栄治、ノーラン・ライアン…。あまたの足を高く上げる投手の誰よりも「令和の怪物」ロッテ・佐々木朗希にそっくり。大きく足を上げてエネルギーを得て、打者寄りの低い位置でリリースした。

 進路は「高い順位で行きたい」と3年生唯一のプロ志望。剛球が捕手のミットを無慈悲に叩いた瞬間、選択を心から応援したくなった。球持ち良く、低い位置でリリースされた直球は下手投げ投手の「下から上へ」と錯覚させるような軌道。ホップ成分マシマシだ。また、指のかかり具合によって、カットボール、ツーシームのように変化するので「右斜め上」や「左斜め上」に動いているように感じた。低めも地面スレスレから伸びる。直球だけでも打者はてこずりそうだ。正捕手・川尻結大(2年)も「胸の高さで空振りが取れるので投球の幅が広がる」と言い、キャッチボール相手の右腕・吉田瑞己(2年)も「胸の高さと思ったら顔に来る」と証言した。

 本家と同じく決め球はフォーク。NPB審判員時代、空振りが取れるフォークの特徴として感じていたのは落差ではなく、落ちる角度だ。山口のフォークは落差こそ大きくないが鋭角に落ちるため、空振りが取れるウイニングショットとして合格。140キロ超の投手が17人もいる投手王国で春は背番号1を背負った理由を体感した。

 昨年の3年生は湯田統真(明大)ら150キロ超投手が3人もいたため、山口は昨秋が初のベンチ入りで公式戦経験は多くない。絶対的な2球種が本調子でない時にゲームをつくれるかが、自身初の甲子園出場の鍵。昨夏のエース・高橋煌稀(早大)にはその引き出しがあった。「チームを勝利に導けたら自分の評価も上がる」と山口。レオが再びライオン軍団に栄冠をもたらせば朗希と同じ「ドラ1」が待っている。(柳内 遼平)

 ◇山口 廉王(やまぐち・れお)2006年(平18)5月14日生まれ、東京都大田区出身の18歳。田柄二小1年から田柄ボーイズで野球を始め、高崎中では宮城北部リトルシニアに所属。仙台育英では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒4、遠投100メートル。高校通算1本塁打。好きな言葉は「当たり前のことを当たり前に」。1メートル93、95キロ。右投げ右打ち。

 ≪須江監督も絶賛「一番」の素材≫ 決して右肩上がりの成長曲線ではない。山口は入学早々に右肘に異常が見つかり、手術を受けたため約8カ月もノースローの日々を過ごした。内野手で活躍する選択肢も模索していたが、2年春に「ピッチャーに専念したい」と退路を断った。「体を大きく使おう」とフォーム改造に着手。高く足を上げるフォームが完成した。

 春季大会では大台の150キロをマークし、エースとして東北大会出場に貢献。春の時点で12球団のスカウト、5球団の球団幹部が視察済み。須江監督は「春の時点では監督になってから(18年以降)一番の注目度。大型にもかかわらず変化球でも(腕が)緩まない。それが素材としての良さ、そこが真の評価だと思います」と語った。

 ≪3回戦VS東北?「死のブロック」≫組み合わせ抽選では強豪・東北と、お互いが勝ち進めば3回戦で激突する「死のブロック」に決まった。それでも三塁手の湯浅桜翼(おうすけ)主将(3年)は「対戦相手というよりも自分たちのやりたい野球をやることが大事」と冷静に連覇を見据えた。

 【後記】最近の高校生は紙面やネット記事よりもYouTube動画を見ているらしく、取材に行く先々で「スポニチの動画が来た!」と大歓迎。今回も仙台育英の2年生投手たちが「来年は俺をジャッジしてください」と目をキラキラさせて言った。

 山口の練習を2日間密着。練習中は寡黙な山口だが、仲間のことになると多弁になる。「刀祢悠有希(とねゆうき=2年)はスライダーが一級品なんすよ」、「内山璃力(りき=3年)は審判マニア。ルールや審判の動き方まで知っているんすよ」。ジャングル大帝の主人公レオは漫画のラストシーンで自分の命を犠牲にするほどの仲間思いだった。「なんだ、仙台育英のレオも仲間思いじゃないか」と思い、東京に帰る新幹線に乗り込んだ。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)

 ◇柳内 遼平(やなぎうち・りょうへい)1990年(平2)9月20日生まれ、福岡県福津市出身の33歳。光陵(福岡)では外野手としてプレー。四国IL審判員を経て11~16年にNPB審判員。2軍戦では毎年100試合以上に出場、1軍初出場は15年9月28日のオリックス―楽天戦(京セラドーム)。16年にMLB審判学校卒業。同年限りで退職し、公務員を経て20年スポニチ入社。

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