エンゼルス・大谷 藤浪撃ちからの6号 鉄人!大量リードで指揮官から交代提案も「大丈夫」

[ 2023年4月28日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス11-3アスレチックス ( 2023年4月26日    アナハイム )

<エンゼルス・アスレチックス>8回、2ランを放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)は26日(日本時間27日)、アスレチックス戦に「3番・DH」で出場し、6号2ランを含む2安打3打点でチームの2連勝に貢献した。調子は下降気味だったが、4回の第3打席で珍しく右脚を上げて打席に立ったことが奏功。軸足への“タメ”を体に覚えさせ、通常の打ち方に戻した6回に藤浪晋太郎投手(29)から左前打を放ち、その後のダメ押し弾へとつなげた。

 乾いた打球音とともに大谷は歩き出したが、どこか不安そうだった。完璧な手応えはなく、代名詞の「確信歩き」ではなかった。

 「ぎりぎりだったので、僕的に入らないかなと思ったけど…」

 9―3の8回1死一塁、右腕スミスの94・5マイル(約152キロ)シンカーを強振。角度34度で高く舞い上がり、中堅手が伸ばしたグラブをかすめるダメ押しの6号2ランとなった。打球速度103・9マイル(約167・2キロ)、同飛距離401フィート(約122・2メートル)。19日のヤンキース戦では、速度も飛距離も上回る同じ中堅後方への大飛球を、中堅手ジャッジに好捕されていただけに「ニューヨークの時みたいに、良い打撃でそれなりに飛距離があるのに入らなかったり。そこらへんは運もあるかなと思う」と謙虚に振り返った。

 きっかけは自らつくった。24日のアスレチックス戦の第4打席から9打席連続で凡退。4回の第3打席は珍しく右脚を上げてタイミングを取った。「軸足をしっかり使いたいという意味でレッグキック(右脚を上げる打ち方)でいった」。結果は三振に終わったが、軸足である左脚への“タメ”を意識させた。

 試行錯誤で感覚をつかみ、通常の「ヒールダウン(すり足気味の打ち方)」に戻した6回1死一塁では、藤浪との今季2度目の対決。オール直球攻めに「球自体はやっぱり強かった」と押されたが、3球目の99マイル(約159・3キロ)の外角球を逆方向へはじき返し、左翼手が打球を後逸。一塁走者が生還してリードも広がり「大きい流れだった」。軸足への意識を高めることで体のブレも軽減され、パワーも伝わりやすくなる。手応えは小さくても、中堅後方まで伸びた3戦ぶりの本塁打は必然だった。

 登板前日のため、試合前にブルペンで34球を投げ込んでから臨んだ。今季は25試合中24試合に出場しており、17連戦の13戦目。大量リードの試合中に、疲労を心配するフィル・ネビン監督から「(先に)家へ帰って休んでもいい」と伝えられたが、「大丈夫。ここにいたい」と返してフル出場した。指揮官は「偉大な打者、偉大な選手は休まないんだ。彼も例外ではない」と真顔で語った。試合後は約20分間、体のケアに充て、シャワー後の濡れた髪のまま鉄人は家路を急いだ。(柳原 直之)

 ≪シーズン38本塁打ペース≫大谷の6号はリーグ6位タイで、ヤンキース・ジャッジら8人が並んでいる。チームの25試合目で、シーズン換算では38本塁打ペース。46本塁打した21年はチームの19試合目(4月24日アストロズ戦)で6号に到達。34本塁打だった昨季は、チーム31試合目(5月9日レイズ戦)に5号と6号本塁打をまとめて放った。

 ▽大谷の打撃フォーム 日本ハム時代の3年目の15年から左脇を空けて肘を高く上げる「フライングエルボー」と呼ばれる構えを本格採用。左肘に「自由」があるためテイクバックを大きく使えるようになった。メジャー1年目の18年のオープン戦で極度の不振に陥り、開幕直前にプホルス(現球団特別アドバイザー)を参考に、右脚を上げず、内側に少しひねる形の「ヒールダウン打法」を取り入れ、今も続けている。

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