お世話になったスタッフ退職の日 ソフトB・栗原がはなむけ満塁弾 感激のお立ち台「一生の思い出」

[ 2023年4月28日 05:00 ]

パ・リーグ   ソフトバンク5-3楽天 ( 2023年4月27日    ペイペイD )

お立ち台でクラッカーを鳴らす(左から)森、グラウンドキーパーの徳永さん、栗原(撮影・岡田 丈靖)
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 恩返しの満弾だ。ソフトバンクは27日、楽天と対戦し0―0の6回1死満塁で栗原陵矢外野手(26)が、15試合ぶりとなる今季4号、自身2本目となる満塁弾を放ち、この日が最後の勤務日だったグラウンドキーパーの徳永勝利さん(58)をペイペイドーム今季7戦全勝で送り出した。また、今季初登板初先発だった森唯斗投手(31)が6回無失点で、先発ではプロ初勝利。100セーブ達成後の先発勝利は史上初となった。チームは5連敗の後2連勝で単独2位に浮上した。

 流れるようなスイングで捉えた打球は高々と上がり、右翼席に舞い降りた。6回1死満塁で栗原が会心の満塁本塁打。自身15試合ぶりの一発で一挙4点を先制し、勝利の流れを呼び込んだ。

 カウント2―1から左腕・鈴木翔の甘く入った直球を逃さず仕留めた。打席では「打たんとやばい」と気合を入れた。23日のロッテ戦までの5連敗中、20打数4安打0本塁打1打点と打撃の調子を落とし、主軸として責任を感じていた。会心の一撃は20年7月25日の日本ハム戦(ペイペイドーム)以来、自身2本目となるグランドスラム。「打てない時期が続いてチームに凄く迷惑をかけ、凄く責任を感じていた」と胸をなで下ろした。

 6回まで好投を続けていた今季初先発の森のためにも何とか打ちたかった。「気持ちの入った、強い球を投げていたので刺激になった」。球数が95球に達していた森が6回までで降板するのは分かっていた。森から「頼むぞ!」と声を掛けられ打席へ向かい、最高の結果を出した。

 恩返しの一発でもあった。この日は「トクさん」の愛称で慕われたグラウンドキーパーの徳永勝利さん(58)の最後の勤務日だった。平和台球場を本拠地としたダイエー時代など36年間、チームを縁の下で支えてきた功労者。試合前には藤本監督ら首脳陣、選手やスタッフらが集まって花束を贈呈し、徳永さんからは勝利をお願いされていた。

 栗原は「選手が何不自由なく練習できているのはトクさんのおかげだし、今日は何とか勝ちたかった。本当に良かった」と目を潤ませた。栗原に呼ばれてお立ち台にも上がった徳永さんは「クリのホームランは一生の思い出」と感激で声を震わせていた。

 チームは2連勝。ペイペイドームでの今季連勝を7とし、単独2位に浮上した。徳永さんへの惜別弾で勝利の飾った栗原は「またこれから上げていけるように頑張ります」と力強く誓った。 (森 寛一)

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