侍・栗山監督 決勝、ダル-大谷継投の決断の裏側 「最後はあの2人しか…不安全くなかった」

[ 2023年3月27日 15:46 ]

<栗山監督・会見>会見する栗山監督(撮影・尾崎 有希)
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、09年の第2回大会以来14年ぶりに世界一に輝いた侍ジャパン・栗山英樹監督(61)が27日、東京都内の日本記者クラブで行われた記者会見に臨んだ。

 WBC決勝・米国戦では8回にダルビッシュ有(パドレス)、9回に大谷翔平(エンゼルス)のメジャーリーガーリレーで締めて世界一を達成した。

 普段は先発投手で救援経験がほとんどない2人を、決勝という緊迫した舞台で送り出した思いを吐露した。

 「皆さんが自分がジャパンの監督をやると想定してもらって、本当に自分がやると思った時に…最後どう終わりたいかと考えた時に。やっぱりアメリカの地で終わる。それも、もともとメジャーリーガーのスター選手が出てくるというのはわかっていたので、それをやっつけるためには誰が抑えられるかと言ったら、多分最初に思い浮かぶのはあの2人だと思っていた」と述べ、「できるかできないかではなくて、こっちがやるかやらないかなので。その実現に向かってまっすぐ走るだけだった」と明かした。

 一方で、最終的に終盤の継投を決めたのは決勝戦の練習場に行ってからだったという。「どんな風に投げられるかどうか確認していった。最後までいろんな幅を持たせていって考えてはいるので。色々考えましたけど、最初からいろんなイメージは持っておくというのが事実ですね」と述べた。

 また、先発・今永からダルビッシュ、大谷までの間には戸郷(巨人)、高橋宏(中日)、伊藤(日本ハム)、大勢(巨人)と若い投手陣が必死でリードを守った。「最後、決勝戦は若い投手をどんどん突っ込んでいきましたけど、ほんとに一人一人に聞いたら足が震えてたとか全然覚えてないとかそんな感じで。僕がマウンドに行って、投手交代の時も完全に僕の言葉だけが走っているのがわかるんですよ。全然聞いてねえな、みたいな。そのくらい緊張しているという中で後ろに行けば行くほどプレッシャーかかるので」と終盤にいくほど若手投手への重圧は余計にかかると予想。「最後はあの2人くらいしか超えられないかな、1点差はという感じがしました」と強烈なプレッシャーに耐えうるのはダルビッシュと大谷だという結論だったことも明かした。

 「ただ、そこまでが僕の仕事だと思ったので。あの2人をマウンドに上げてやられるならしょうがないって思っちゃいけないんですけど、そこまでいったら納得できるし。僕は信頼しているので。だから不安も全くなかった」と振り返った。

 また、「翔平に関しては先発しかやってなかった時に日本シリーズで抑えで使っているという経緯もあるし、ダルは(前回の)WBCで最後やっているというのもあるし」と過去の経験も踏まえたもので、「8月に行った時も、ダルとは出る出ないって全然決まってもいない中で、どのポジションならやってくれるんだって話はもちろんしているので…その時から。“もし行くならば、どこでもやります。日本のためにやります”というふうに言ってくれていた。なので勝手に勝つパターンを考えさせてもらったという風な感じだった」と2人の姿勢も粋に感じた様子。

 「そういうことも含めて、ダルにありがとうと言っていたつもりなので。自分のことよりも人のためにとか、日本の野球のためにとか彼らが考えてくれていたのが大きかった。そこに関しての不安とかそういうものが全くなかった。あそこに送り出した時点で僕の仕事は終わったと思っていたので…本当に勝ち切ってくれたので感謝しかないです」としみじみと感謝を述べた。

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