日本ハム・野村 新バットから伝わる5年目の覚悟

[ 2023年3月27日 07:45 ]

日本ハム・野村
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 ぱっと見ただけでは、気づくことができなかった。2月に沖縄・名護で行われた日本ハムの春季キャンプ。約1センチ、野村佑希内野手(22)が構えた左手から木製バットのグリップが見えていた。昨年まではグリップは隠れていたが、今季から使用する新バットに、5年目へ懸ける主軸の覚悟が込められていた。

 「ケガをしないことが1番だが、そこにびびって自分のパフォーマンスを下げるくらいならベストを尽くしたい。まずは自分の体に1番合ったバットを使うようにした」

 毎年故障に悩まされ、3年目の21年からは左手有鉤(ゆうこう)骨骨折を未然に防ぐため、タイ・カッブ型のグリップに変更した。通常のグリップでは小指部分に負担がかかり、同箇所を骨折する選手が多い。チームでも08年に中田翔(現巨人)、19年に清宮幸太郎が骨折するなど、強打者によく見られた。

 しかし、左手に負担がかからない代わりに、タイ・カッブ型はグリップエンドの端まで小指が下がる。そのため、ここ数年は「振り遅れるなと思う時もあったし、バットが重く感じる時もあった」と言う。故障を恐れ、成績を落としては意味がない。今年は故障のリスクを覚悟して、通常モデルのバットに戻した。

 バットの長さは昨年と同じ、33・5インチ(85・09センチ)。しかし左手小指の位置がグリップ分の「1センチ」だけ短く持てるようになり、昨季まで隠れていたグリップが姿を現していたのだ。バットの操作性が上がった分、故障のリスクも上がったが、野村はこう言い切った。

 「打てなくて出られないも、ケガして出られないも同じ。であれば、自分のパフォーマンスを出せる方を選ぶ。ベストを尽くしてケガをしたら、それはもうそこまでだったということ」

 今春は実戦13試合で打率・391。4番としてチームで唯一、全試合フル出場した。オープン戦終盤に疲労から腰の張りを訴え、離脱もあったが「自分にとって開幕前の大きな壁だと思っている」。その壁を乗り越えた先に、18年の入団会見で口にした「新球場での4番」という夢が、現実となるはずだ。(記者コラム・清藤 駿太)

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2023年3月27日のニュース