辻発彦氏 侍ジャパンの投手陣 滑りやすいWBC球への対応に苦労 7失点…不安残った

[ 2023年3月4日 05:25 ]

侍ジャパン壮行試合   日本代表2―7中日 ( 2023年3月3日    バンテリンD )

<侍・中>7回、高橋に適時打を浴び険しい表情を見せる松井裕(撮影・会津 智海)
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 WBCに出場する侍ジャパンは3日、昨季のセ・リーグ最下位・中日との壮行試合で2―7の大敗。栗山ジャパンは昨年11月の強化試合からの連勝が6で止まった。3番手の松井裕樹投手(27)が、3四球と制球を乱し1イニング持たず4失点するなど、投手陣のWBC使用球への適応不足が浮き彫りとなった。本紙評論家で06年の第1回WBCコーチを務めた辻発彦氏(64)も、侍投手陣の不安材料を指摘した。

 【辻発彦 視点】ピッチャーに関しては不安の残る試合になった。第2先発以降のブルペン陣のメンバーが登板したが、滑りやすいWBC使用球への対応に苦労していた。

 自主トレなどから、あれだけ使ってなじむように取り組んできたとしても、試合になると制球が乱れる。特に力を入れた時、力んだときは顕著になる。3番手の松井裕は3四球で、栗山監督も不安になっただろう。2番手の戸郷もいきなり先頭に死球。本来の腕の振りじゃなかった。制球を意識してしまってストライクを取りにいったら、代表レベルの選手でもこうやって打たれる。ドーム球場で条件もそこまで悪くない環境でも、試合となって力を入れた状況でどう修正していくか。投手陣は大会前に試合で投げられる機会もあと1回ずつ程度だろう。かなり不安な状況だ。

 私自身も現役時代、大リーグ球を使った日米野球で、守備の時に大暴投をした経験がある。4回に大城卓が二塁に悪送球をするなど、野手陣も3試合連続で送球ミスの失策が出た。野手ならとにかく低く、ワンバウンドでもいいから送球のライン(方向)を間違えないようにと注意はできるが投手は別。滑るものは滑るし、その中でどうやっていくか。第1回大会でも投手陣は苦労していた。

 幸い投手陣にはダルビッシュ、大谷とメジャーリーガーが2人いる。メジャーの投手でも滑るのは変わらない。登板後の松井裕と大谷が何か言葉を交わしていたが、2人にいろいろ聞いて対処していくしかない。知恵をうまく伝えてくれることを期待する。残り3試合の実戦や練習で、そのあたりをどれだけ解消できるかだろう。

 打線も不安だが、打つ方は何かのきっかけでガラッと変わる。だが、投げる方はそうはいかない。本番までに、いかに腕を振って投げられるようになるかが鍵になる。(本紙評論家)

 ▽WBC球 MLB使用球と同じもので米ローリングス社製。NPB球との主な違いは「大きさ」「手触り」「縫い目」など。NPB球より大きい。革にしっとりとした感触がないため、滑りやすい。縫い目は日本製よりやや広く、高い傾向がある。作りが粗いため、大きさや質感のばらつきも大きく、縫い目が低いと口にする投手もいる。規格は日米共通の公認規則で定められているが、規格の範囲内で個体差が生まれている。

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2023年3月4日のニュース